福祉用具レンタル業 そろそろ周辺のビジネスに目を向ける時機か!?

より大規模な事業者への集中が進みそうですね・・・

この1ヶ月くらいの間で、みなさまもご存じの某大手企業の方々と情報交換をさせていただく機会がありました。
そんな情報交換を踏まえ、また昨年くらいからの状況、今回の介護保険制度の報酬改定の内容、いろんなことを考えると業界はじわじわと寡占化の方向へと進んでいるように思います。

福祉用具レンタル業のいまの状況を踏まえ、事業をどのように考えるべきか、そんなことを書きたいと思います。

ポイント1:寡占化の流れは業界動向を考えると不可避

冒頭に挙げたコメント

より大規模な事業者への集中が進みそうですね・・・

その背景にある事情はおおよそ次のようなものです。

・仕入金額のアップの一方でレンタル価格は抑えられ利益が取りにくくなっている
・業界は相変わらずの人材不足と採用難、給与水準も上げていかないと人材が維持・確保できない
・介護保険制度は選択制やらモニタリングの義務化やらでますます人手が必要になっている

そうしたことを考えると、より規模の大きな事業所でないと現行のサービスを維持できない状況が迫っており、大規模な事業者への集中が進むのではないかという推測に至ったというわけです。

介護保険のビジネスはやっぱりたいへんだな・・・

そう思われる方も多いかもしれませんが、こうした現象はなにも介護保険制度のビジネスに限ったものではありません。
もちろん許認可が必要なビジネスや、医療保険・介護保険など公的機関が関与するものは制度、政策に影響を受けがちです。

とはいえごく一般的なビジネスでも「市場の原理」によってある時点から寡占化が進むのはごくごく当たり前のことと言えます。

例えば何か新たな事業領域が生まれたとしましょう。

そのとき、マーケットは次のような変遷をたどっていきます。

①導入期:市場が生まれたばかりで事業者はごく少数。マーケットが成長するかどうかまだわからない。
②成長期:市場が一気に成長していく時期。成長マーケットに多くの事業者が参入してくる。
③成熟期:市場成長が止まり利益も上げにくくなる。事業者がマーケットから退出しはじめる。
④衰退期:ますます事業者の退出が加速するレベルで市場縮小が進む。下げ止まった市場に残った事業者には「残り福」としてシェアと利益が残される。

このようにどんな業界、どんな市場でも起こっていることという普遍的な目線で捉えると、いま福祉用具レンタル業界で起ころうとしていることにも何となく理解ができるように思います。

福祉用具レンタル業はどの段階に位置しているかというと、

③成熟期の段階

ですね。

これから起こることは市場成長が止まり、利益を上げにくくなり、事業者の退出がはじまるという現象です。

ちょっと気味が悪いくらい現在の状況と符合していると思いませんか!?

ポイント2:いよいよ真剣に新規事業へのチャレンジの時機

先にご紹介したマーケットの変遷、

①導入期
②成長期
③成熟期
④衰退期

こうした考え方を「ライフサイクル理論」といいます。

ライフサイクルで考えたときに、いまの業界の状態はというと、ちょっと先の近未来に市場縮小が待っていることがわかっているわけです。

そのときに考えるべきこと、それは、

次の事業立ち上げにチャレンジし、自社の中に成長の種を植えること

少しスケールの大きな例えになりますが、みなさんご存じのソフトバンク・孫さん

はじめはコンピューターの卸売事業からはじまり、
次は「Yahoo!BB」というインターネットモデムの展開を行い、
Vodafoneを買収し携帯電話事業に進出、
次にiphoneの日本独占販売を行いスマホ事業を手掛け、
現在はAIに投資をされています。

私などが語るのはたいへんおこがましいのは百も承知ですが、見事に事業を立ち上げ、その市場成長の変遷を見越して次の成長事業を立ち上げるということを行っておられます。

いま福祉用具レンタル業の経営者が考えるべきことは2つ

現業(福祉用具レンタル)でしっかりと利益を上げるべく業績を伸ばすこと

稼いだ利益をもとに業界の市場縮小を見越して新たな事業立ち上げを図っていくこと

「介護保険外のビジネスを立ち上げたい」

誰もが一度は夢見ることかと思いますが、いよいよそれを真剣に考えるべき時機がやってきているのだと思います。

ポイント3:介護保険の周辺のビジネスに目を向けよう!

介護保険外のビジネス
次の成長のための事業立ち上げ

そんなことわかっちゃいるけど、、、

言うは易し、実際に行うのはとても難しいという風に感じられるかもしれません。

どうやったら新しい事業のアイデアが湧いてくるの???

経営者のなかには「新たな事業アイデアがどんどん湧いてきてやりたいことがいっぱい!」という方も確かにいらっしゃいます。

ただ、そうした方は本当にごく一部、多くの経営者は

「社長といえどそんなにアイデアがあるわけではない」

ということであろうと思います。

ひとつ答えがあるとしたら、

アンテナを張り事業アイデアをパクること

だと思います。

新規事業といったときに考え方を少し整理しましょう。

アンゾフの成長マトリックスという理論があります。

難しいことは置いておいて、

1)既存の顧客に新たな商品を売る
2)既存の商品を新たな顧客に売る

このどちらかを考えればよいという思考の枠組みです。

この2つのパターンで福祉用具レンタル会社の新規事業の事例をご紹介します。

1)既存の顧客に新たな商品を売る:空き家活用高齢者向け住居

利用者の空き家問題を解決するものとして高齢者向け住居を運営。
さらにその空き家を多世代型介護付きシェアハウスとして老若男女問わず地域の人が集まるコミュニティとして「町の暮らしの価値を高める」運営を行っている事例

既存の顧客層である利用者から「空き家」というリソースを仕入れ、それをもとに高齢者という顧客層が入居できるシェアハウスを運営している事例です。
空き家問題という社会的課題にアプローチしつつ、シェアハウスによる家賃収入やサービス提供収入を獲得できる事業です。

既存の顧客層に新たな商品を売る事例としてとても面白いですよね。

2)既存の商品を新たな顧客に売る:福祉用具法人営業ビジネス

顧客ターゲットを在宅の個人利用者から、病院・施設などの法人顧客へとシフト。
ベッドや車いすなど商品というリソースを活用し、またベテラン営業スタッフという人的リソースも活用して新たな市場へとチャレンジしていく事例

こちらの方がよりイメージしやすいかもしれません。

なんだ、要は病院・施設営業でしょ!?

と思われるかもしれませんが、単に人海戦術で営業をかけるだけではなく、マーケティングの力を使ってより効率的に法人営業を展開していく手法と考えていただければと思います。

繰り返しになりますが、新たな事業を立ち上げるポイントは、

アンテナを張り事業アイデアをパクること

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
シニア経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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