福祉用具レンタル業 高齢者との直接の接点 もってますか!?

利用者との直接の接点はどのくらい持っていますか?

「え、ふつうに利用者宅には毎日のように行ってるけど・・・」

そう思ったあなた、残念ながら【ふつうのビジネス感覚】ですね。

「今後に備えて高齢者とつながれるチャネルを持ちたいんだよね・・・」

そう思ったあなた、【なかなかのビジネス感覚】だと思います。

多くの方が1度は考える「ケアマネに頼らず顧客(予備軍)である高齢者とつながりが持てたらなぁ・・・」

今回のコラムでは、そうした高齢者との直接の接点についての事例についてお伝えしてまいりたいと思います。

ポイント1:なぜ高齢者との直接の接点をもつといいのか?

冒頭に「多くの方が1度は考える『ケアマネに頼らず顧客(予備軍)である高齢者とつながりが持てたらなぁ・・・』」と書きました。

ではなぜ高齢者と直接の接点をもつと良いのでしょうか。

ズバリ結論から言います。

介護保険制度のしばりから自由になる

これに尽きると思います。

福祉用具レンタル会社のビジネスは、ざっくり言うと介護保険制度の枠組みのなかで動いています。

レンタル・・・もちろん介護保険でのレンタルです。
特定福祉用具の販売・・・これも介護保険を使います。
住宅改修・・・言わずもがな介護保険ですね。

じゃあ自費ベッドとか靴や杖の一般販売は介護保険を使わないんじゃ・・・!?
これらとて、どうやってその利用者さんと知り合うかと言うと、ケアマネが起点になっていることがほとんどだと思います。

福祉用具のレンタルや販売、住宅改修でご縁ができたケアマネを通じて、その「ついで」として自費ベッドとか靴の販売が発生していると考えられると思います。

そう考えると私たちの商売は、そのほとんどが介護保険制度の枠組みのなかで成り立っていると言わざるを得ません。

ここ数年、介護保険制度ビジネスというゲームのルールが大きく変わるのでは?と言われてきましたよね。

例えば、「軽度者貸しはがし」として手すりや歩行器など軽度者向けのレンタル品が介護保険制度から外れるのでは・・・!?
例えば、居宅介護支援事業所のプラン料が有料化されるのでは・・・!?

といった具合です。

事業を進めていく上で、介護保険制度への依存度が高ければ高いほど、ルール変更時の影響は大きなものになります。
もしかしたら、介護保険でのレンタルの対象領域が思いっきり縮小されるかもしれないし、
もしかしたら、ケアマネの役割がガラリと変わってケアマネから案件が出てこなくなるかもしれません。

(いろんな地域で「ケアマネ不足」が言われている昨今、あながち非現実的でもないかもですね。)

もし本当に、ケアマネから案件が出てこなくなるという事態が現実のものになったとしたら、

ケアマネへ日参して案件をもらうことしか顧客獲得ルートをもたない会社

はどうなるでしょうか?

そう考えたときに、

高齢者との直接の接点をもち、

ひいては、

介護保険制度のしばりから自由になる

ということが重要になりますね。というお話です。

ポイント2:とはいえ包括/居宅抜きではビジネスは成り立たない

もしそうした世界がやってきたら・・・と考えると業界にとっては大きなゲームチェンジになることでしょう。
とはいえ、現実のビジネスでは包括/居宅のケアマネさん抜きでは商売は成り立たないですね。

船井総研には「保守7:革新3」という言葉があります。

新たな考え方ややり方が一気にすべてを席捲するというわけではなく、多くて3割程度が革新的な部分であり、旧来のやり方やビジネススタイルが7割を占めるくらいがちょうど良いという考え方です。

例えば私が大好きなバイクのメーカーであるヤマハ(ヤマハ発動機)には「エボルビングR&D活動」というものがあるそうです。
これは通称:5%ルールと言われていて、既存のビジネスに直結した日々の研究開発とは別に、自身の時間の5%を事業に直結しない自発的な研究開発に使うというものだそうです。

メーカーにとって研究開発は長期的な成長を決める、超・重要な活動です。
しかしながら、すぐにはお金になるかどうかわからない、もしかするとものすごく長い時間と膨大な資金を投入しても徒労として水泡に帰してしまうこともあり得ます。
やっても成果として結実するかわからない、でもやらなければ中長期的に衰退へと向かってしまう。
うーん、なかなか悩ましいところです。

だからこそ「5%ルール」として、目の前のこと以外の研究開発にある一定の時間を使うことを会社として決断しているのだと思います。

福祉用具の世界に戻りましょう。

こうした考え方からすると、メインの軸足は従来の包括/居宅のケアマネルートに置いて、しっかりと現実のビジネスを回していく一方で、
会社としての意識や行動は、ある一部分は(ケアマネに依らない)高齢者との直接の接点をつくっていく方向へと向けていくのが良いようです。

あくまでも「保守7:革新3」のスタンスです。

例えばある福祉用具レンタル会社はシニア向けのカルチャースクールを運営しているところなどもあります。
写真撮影やその編集、パソコンやタブレットの使い方など趣味の領域で、シニアが学びたい講座をカリキュラム化して、利用者(予備軍)との接点をつくっているのです。

独自のやり方でかなりの数のシニアを生徒として顧客化されているそうですが、その社長曰く、

「もしかすると将来ケアマネがいなくなる世界が訪れるかもしれない。」

という可能性も見据えてそうしたことを事業化されているそうです。

もちろんそうしたことに力を入れる一方で、現実のビジネスとしては包括/居宅のケアマネ営業でレンタル利用者を増やす活動がメインであることは言うまでもありません。

力を入れる重要な部分と、その一方で別の視点でつくっていく新しい世界

このバランス感覚がとても重要なのだと思います。

ポイント3:7万人のシニアとの接点をもつ企業の事例

できることならば既存の営業活動で包括/居宅へのアプローチを行いつつ、それが新たな顧客接点づくりともつながっていけば最高ですよね・・・

そんなウマイ話があるわけない!

多くの方はそう思われることでしょう。

そんなウマイ話を実際にやっている事例として、株式会社メディケアーの「予防体操教室」をご紹介したいと思います。

「介護予防教室」とは、フレイル(健康と介護状態の間)を予防するためのもので、適度な運動を通じて心身の健康を維持してもらうための体操教室のことをいいます。
メディケアーさんでは「介護予防教室」を2013年から続けていて、年間7万人のシニアとの接点をつくっているそうです。

これがなぜ包括/居宅へのアプローチとつながるかというと、「介護予防教室」は地域包括支援センターとの連携によって実施しているものだからです。
ご存じの方も多いと思いますが、地域包括支援センターの重要な役割の一つに「介護予防」ということがあります。
地域包括支援センターにとって、メディケアーさんとタッグを組みながら地域の高齢者に対して健康維持やフレイル予防のコンテンツを提供していくのは、包括さんのニーズにズバっとはまっているというわけです。

そうした事情によって地域包括支援センターとの連携で「介護予防教室」を進めています。

もっと平たく言うと、包括さんが主催で地域のシニアに参加を呼び掛けて、メディケアーさんがインストラクター派遣をして体操教室のコンテンツを提供しているという関係です。

ほ、ほぉ~、それで年間7万人のシニアと接点づくり・・・
でも、それでどうやってビジネスに活かしているんだろう・・・

対象となるシニアというのはフレイル予防ということで、利用者になる前の予備軍が中心になります。
7万人ものシニアと接点があるということは、その接点を使っていろんなビジネスへの展開が考えられます。

ここではキーワードとして「マーケティング活用」とだけお伝えしておきましょう。

シニア層、特にアクティブシニアをターゲットにしたい会社は山ほどあると思います。
ただ、そうしたアクティブシニア層のリアルなマーケティングデータは「ありそうでない」もの。
そうしたデータを提供できるような仕組みをつくっているとしたら・・・

そんなメディケアーさんの、「介護予防教室」を活用した【保守7割】の介護保険ビジネスの強化の一方で、
高齢者との直接の接点で「マーケティング活用」による新たなビジネス展開の【革新3割】のカラクリが聴けるチャンスをご紹介させてください。

株式会社メディケアーといえば、、、
・神奈川県内の4強といわれるうちの一角
・利用者数は3万人を超える破格の規模
・神奈川県内15拠点+東京都1拠点を集中展開
・後藤社長が入社以来 20年で売上を7倍に成長

めったに聴くことのできない株式会社メディケアーの未来への戦略をお聞きいただき、2025年以降の貴社の指針へとご活用いただければ幸いです。

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
シニア経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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