福祉用具レンタル業 2024年の業界トピックを振り返る

ついこないだ年が明けたと思ってたのに・・・

今年も早いもので残り1ヶ月となりました。
なんだか年々時間が過ぎるのが早くなっているように思います。
小学生のころは1年なんてすごく長い時間だと思っていたのに、年を経るにつれて高速で時間が過ぎるように感じるこの現象、「ジャネーの法則」というそうです。
よろしければ調べてみてください。

それはさておき、2024年の業界トピックを振り返っておきたいと思います。

ポイント1:販売と貸与の選択制がはじまった・・・

なんといっても今年大きなトピックだったのは「販売と貸与の選択制」がはじまったことではないでしょうか。

数年前から社会保障審議会で協議されてきたこの制度。
当初は手すりや歩行器など、軽度者向けのアイテムが軒並み対象となるのではないかと言われていました。

それがさまざまな議論を踏まえて、杖、歩行器、固定用スロープなど一部のアイテムへと対象が絞られ、2024年4月から選択制がスタートすることになりましたよね。
制度がはじまる3月くらいには各社でどう対応したらいいのか、いろいろ情報を集めに奔走されたことと思います。

市役所に聞いても「詳しい話が下りてきていない。」と言われ、どう対応したものか定まらないまま4月のスタートを迎えたという会社さんが多くあるのではないでしょうか。

さて、ふたを開けてみると最も販売を選択されたのは、固定用スロープであったとお聞きしています。
その他、杖に関しても販売を選択されたという話がちらほら・・・

あとはあまりお聞きしなかったように思います。

いまとなっては、販売と貸与の選択制について話題に上ることはめっきり少なくなりました。
制度として定着して、通常ルーチンとして業界のみなさまのなかに根付いているということだと思います。

一つ目のトピックは、この春大いに業界を騒がせた「販売と貸与の選択制」でした。

ポイント2:モニタリングの義務化もはじまった・・・

同じく今年度から明示されたのが、モニタリングの義務化でした。
レンタル開始から6ヶ月以内にモニタリングを実施して担当ケアマネに報告しなければならないということだったと思います。

これまでも半ば義務化されているものと思いつつ、あらためて明示されたことでモニタリングの体制をより一層整備していった会社さんも多くあることでしょう。
ある程度の規模の会社さんであれば、もともとからモニタリング要員を配置してモニタリング消化をされていたと思います。
一方で、まだまだ規模は大きくないものの、伸び盛りという会社さんは文字通り「努力義務」のような形で、できる分にはモニタリングを行うがどちらかというと成長重視というところもあったかと思います。

後者のような会社さんにとっては今回のモニタリング義務化は、あらためてきちんとモニタリング実施の体制を整備する必要性を迫られ、組織体制や業務の組み直しに取り組まれたことと思います。

モニタリングをあらためて考えると、難しすぎることもないが、決して簡単ではなく手放しで誰でもできる業務ではないということがわかりました。
・福祉用具の操作や点検箇所の知識が必要
・不調・不具合があれば対応するスキルが必要
・利用者さんやご家族さんと対応する接遇スキルが必要
・いろいろなお話をお聞きする傾聴スキルが必要
・訪問する前には連絡してアポイントを取ることが必要

と、まあけっこうなスキル、多様な対応が求められる業務であることがわかります。
まして、犯罪グループによる無慈悲な強盗事件が世間を騒がせているなか、モニタリングの約束を取り付ける「アポ電」になかなか出てもらえないという新たな悩みも出てきています。

にもかかわらずモニタリングをせっせとやったからといって売上が上がるというわけではありません。
その費用はレンタル料金を頂戴しているなかからどうにかひねり出さないといけないのですが、そのレンタル料金はというと上限価格制度によって頭が押さえつけられているという現実。

現場を知らない、経営を知らない人が制度をつくるとこんなにも民間企業ならびにそこで働く人たちが圧迫されるのかと思うと暗澹たる気持ちになります。

「サービスは無料」「奉仕は善」という考えが日本社会には広く根付いていると思いますが、
制度として定められたサービスが無料で、しかもその源泉となるレンタル料金さえも上限が決まっているとは、事業者に無償の奉仕を強いるもののように思えます。

このあたり、本当の意味での介護保険制度「改正」として見直しが必要なのではと思います。

ポイント3:そのほかにもいろいろなトピックが・・・!?

ほかにもいろいろな出来事が業界では起こっています。
これは何も2024年に限ったことではないかもしれませんが、業界でこんなことが起こっていますよねというものをいくつか取り上げてみたいと思います。

◆実地指導が戻ってきていますね

コロナ禍の数年間、あまり聞かなかった実地指導が久しぶりに入ることになったという話をチラホラお聞きします。
市町村によって、また担当者によって進め方や厳しさ度合いに差はあるようですが、厳しいケースだとさかのぼって売上金額の返還というお達しを受けることもあるそうです。

◆財務資料の公表制度もはじまりました

令和6年度からすべての介護事業者に財務資料の公表が義務付けられるということになりました。
各社さんで決算期は異なりますが、遅くとも2025年1月~3月の間にはG-bizというシステムを通じて公表登録をしなければならないようです。

◆HCRもかなり戻ってきているようです

10月に開催されたHCR(国際福祉機器展)ですが、出展社数も来場数もかなり戻ってきたという話をお聞きします。
「昔に比べたらぜんぜん規模は小さくなったよ・・・」というお話はあれど、少なくともコロナ期で止まっていた流れは戻りつつあるようです。

業界に詳しい方であれば、ほかにもいろいろな出来事、トピックをご存じかもしれませんが、思いつく限りでピックアップしてみました。
激動の2024年だったのか、思ったほどではなかった2024年だったのか、みなさまにとってはどんな1年だったでしょうか。

過ぎ行く1年を見送りつつ、新たな1年の展望を描いていきたいところです。

2025年がみなさまにとってすばらしい1年になりますよう

心からお祈り申し上げます。

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
シニア経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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