- 2025.03.18
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新規事業
福祉用具レンタル業 なぜ社会福祉法人 永寿荘はあえていま福祉用具レンタルを立ち上げたのか・・・前編
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みなさまこんにちは。今回は社会福祉法人永寿荘 理事長 永嶋正史 氏をゲストに迎え、福祉用具レンタル事業立ち上げの経緯や狙い、その成果についてお伺いしてまいりたいと思います。
その手があったか・・・!介護経営に新たな収益事業付加
社会福祉法人 永寿荘はなぜ福祉用具レンタルを立上げたのか?
社会福祉法人 永寿荘といえば、みなさまもご存じの方も多いかもしれませんが、非常に順調な法人運営を行っておられます。

2002年の社会福祉法人設立以来、介護分野と教育分野で事業を拡大し、現在では17拠点、のべ40もの事業を展開されています。
盤石に見える法人運営のなかで、福祉用具レンタル事業というのは明らかに異色の存在といえるでしょう。
このレポートをお読みのみなさまの中にも、介護グループ経営のなかで、一部に福祉用具貸与事業所をお持ちのところもあるかもしれません。
ただ、一般的には施設系を中心に、訪問看護や訪問介護などの訪問系などを展開されているなかで、それらを端っこの方で補完する、いわば「おまけ」のような位置づけというところも少なくないと思います。
社会福祉法人永寿荘があえて福祉用具レンタル事業を立ち上げたのはなぜか、それも本気で事業に取組み、ひとつの柱へと育てようとしている深遠なる狙いとは?
社会福祉法人の設立、立上げからの成長の軌跡
順風満帆な法人運営の裏側では常に危機感も・・・

社会福祉法人永寿荘は2002年に法人設立いたしました。私たちのルーツはというと、1864年に創業している永嶋呉服店が源流となっています。
世の中がまだ江戸時代と言われていた当時、地元のお客様に呉服を販売することを生業としてスタートしていたのです。その呉服店がなぜ社会福祉法人を運営するようになったのか、もちろん時代の流れに合わせて衣服の小売業から転換し、高齢化する市場へとシフトするという狙いはあったと思います。
もう一つ、法人のスタートを決めた会長自身が耳に障がいを持っており、それまでの人生でも周りの人たちにサポートされてきたという思いがあったようです。
法人設立当時、会長は60歳で「これまで自分が受けた恩を返していきたい」という思いがあったと聞いています。
その後、地域のお役に立てるようにと特別養護老人ホーム 扇の森を2004年に開業します。また高齢者だけでなく待機児童増加という社会課題に対して「何とかしたい」という思いがあり、2007年に保育園も開業させました。
それ以来、介護や教育分野の事業を拡げていき、現在では17拠点、のべ40の事業を展開するようになりました。
順調なように見える事業運営ですが、これまでにも頭を悩ませることや、不慮のアクシデントのようなことは数えればきりがないほど出てきます。

不運に見舞われた出来事で、記憶に新しいところでいうと、2019年には台風19号が水没するということもありました。
1階部分の20床が全滅の憂き目に遭ったわけですので、そのときの惨状といったら筆舌に尽くし難いものがありました。
台風そのものが過ぎ去って雨風が収まったと思いきや、近くの川が決壊し徐々に浸水していったわけなので、スタッフ総出で入所している利用者さんを高いところに避難させ、それはもうギリギリの線での時間との闘いという生きた心地がしない出来事でした。
他にも、「人」のことでは大いに苦労させられています。
グループで運営しているある事業所をオープンさせようとしたところ、その初日にスタッフが3~4人まとめて退職希望をしてくるということもありました。

私たちの法人では目標達成やそのためのKPIということを強く意識しながら運営しているのですが、そうした考え方は介護や教育分野の方からするとあまり馴染みがない、いわば別世界のように感じるのかもしれません。
もちろん採用時には法人の考え方を伝え、常日頃からスタッフ教育も行っているとはいえ、法人全体として数百人という規模のスタッフに働いてもらっているわけでして、考え方についていけない方も一定程度出てくるのもやむなしかもしれません。
ただ、介護や教育だからといって、目標達成に対してぬるい考え方でいいのか、もっと世の中一般と比べても遜色ないハングリーさは必要だと以前から常々考えているところでもありました。
こういうことを言ってはあまりよくないのかもしれませんが、そもそも介護の世界は介護保険制度というものに守られていると思っています。
高齢化社会というボーナス期が終われば、例え特別養護老人ホームといえども、
世間から選ばれる存在でないとやっていけないようになるという危機感をもっています。
また、教育分野も「先生、先生」とは言われるものの、結局は園児や親御さんから評価されて成り立つサービス業であり、常に客観的な目線で自分たちを評価できるようでないと、世間ずれしたガラパゴス状態になってしまうという危機感があります。
そう考えると、一般的には順調と思われるかもしれない社会福祉法人の経営ですが、内情は私たち経営層が常にシビアに自己評価して経営そのものをアップデートしていくことが必要なのだと捉えています。
介護経営に福祉用具レンタル事業付加で閉塞感を打ち破れ!
法人全体の最前線に営業という機能を装備する狙いがあった!
世間一般との接点ということで考えると「営業」という機能を備えたいという思いは以前から持っていました。私たちのそれまでの事業のなかで、外部との接触があるとするとデイサービスくらいではなかったかと思います。

デイサービスの稼働を上げるには外部へのアピールが必要で、デイサービスの管理者には対外的な活動や、目標数字の達成を意識してほしいと思っていました。それでも営業活動というにはほど遠く、また新卒入社のメンバーには外部との接触などやったこともない活動で、月に数回程度の接触ができれば御の字というところです。
そんな折、福祉用具レンタル事業への参入を考えるタイミングが訪れます。
2021年の経営計画を考える際に、それまでとは計画の立て方を一新して考えるようにしたのです。
短期的な目線だとどうしても現状ありき、現状の延長線上での発想になってしまいます。
中期の目線で考えると、そもそもの事業構成から見直し、将来の理想の姿を描いた上で「いま何をすべきか?」を逆算で考えるという発想に切り替わります。
既存事業とのシナジーが生まれるようなビジネスということで、それまでは考えたこともなかった「アンゾフの成長マトリックス」のような枠組みも使いながら、新規事業についてのアイデア出しをしていきました。

そんななか、自然な流れで頭の中に浮かんできたのが福祉用具レンタルというわけだったのです。
数年後の事業構想をイメージしたときに、考えれば考えるほど、福祉用具レンタルは外せないものになっていきました。
私たち社会福祉法人 永寿荘の法人経営のなかで、どんな意味があると考えたのか、いくつかのポイントを挙げていきたいと思います。
法人内に営業機能を取り込む
これは前述した「営業」という機能を法人の中に取り込みたいという思惑です。
施設系にしても、通所系、訪問系、いずれも「営業」ということに関しては弱く、待ちのスタイルになりがちです。
自ら仕事を取りに行く、攻めの「営業」機能を取り込み、法人内に新しい風を入れたいという思いがありました。
地域包括ケアを見据えてフロント部分をつくる
私たちの法人はやはりどうしても施設系が中心になりがちです。
施設系、特に特別養護老人ホームは介護度が高く、いわばバックエンドのような位置づけです。
在宅利用者で比較的フロントエンドに近いとなるとデイサービスがあったのですが、より前線で介護生活の入口に近い分野というと福祉用具レンタルはピッタリの事業に思えました。
定員にも、単位数にも縛られないビジネスを
介護保険の事業をやっていると、どうしても定員に縛られるビジネスになってしまいます。
施設の場合は室数によって売上の天井が決まりますし、デイサービスや訪問介護もスタッフ数によって定員が決められ、売上の天井が決まってしまいます。
その点、福祉用具レンタルは運営する人員要件の決まりはあるものの、やり方次第で売上は青天井で上げることができます。
また介護の世界にあって、唯一「円」というお金の単位でビジネスができる、そうした商売感覚をもつことができることも私たちの法人にとっては、重要なことだと思っていました。
法人全体の顧客資産を蓄積していく
私たちは法人全体で1,000件のケアプランを動かしていこうという目標がありました。自社のケアマネージャーでケアプランを持つだけでなく、外部のケアプランであっても、自社サービスを使ってもらうことでケアプランを動かしていくという意味合いです。
福祉用具レンタルは内部のケアマネージャーのプランを「つなぐ」という役割だけでなく、外部のケアマネージャーのプランから「増やす」という役割も担うことができます。
そのように動かすケアプラン数が増えるほどに、私たちにとっては顧客資産となり、法人としての強みが増していくと考えています。
ここまでお伝えしてきたようなことが、私たち社会福祉法人永寿荘が福祉用具レンタルという事業を進めていくことになった理由です。
将来の事業構想という一枚の絵を完成させるのに、まるでパズルのピースのように、必要で欠くことができないひとつの重要な事業という位置づけになっています。

・・・・いかがでしたでしょうか?
次回は「福祉用具レンタル立上げ6ヶ月で黒字化に成功!事業立上げからスタートダッシュを決めた秘訣は何か?」と題しまして、立上げから今日までの成長の軌跡について語っていただきます!
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