福祉用具レンタル業 最重要の経営資源「ヒト」について考える

いまや「ヒト」に関して悩まない会社は無いといっても過言ではない時代だと思います。

たまたまいろんな業種で採用が重なり、一時的に人材が回ってこなくなっている!?
Z世代といわれる層が不安定なだけで、別の世代なら教育・定着は難なくできる!?

・・・残念ながら、そんなことはまったくの幻想で、これから先もずっと人材に悩む時期は続きます。

いまこそ最重要の経営資源である「ヒト」への向き合い方を定め、将来にわたり勝算が立てられる会社のあり方を固めていく時期ではないかと思います。
今回のコラムではそうした「ヒト」への向き合い方について考えてみたいと思います。

ポイント1:求職者から必ず出てくる質問は!?

採用募集をすると多いか少ないかは別として、求職者から応募があると思います。
応募があったら、当然ながら面接をしますよね。

面接の流れはざっくり言うと、次のような流れかと思います。

面接の流れ狙い
①自己紹介/志望動機入社意思の確認
②候補者への質問候補者の見極め・相性の確認
③候補者への質問入社意思の確認
④その他入社に関する案内
⑤候補者からの質問不安の解消

選考の面接の前に、自社の説明などはすでに済んでいる前提での面接の流れを示しています。
このうち⑤候補者からの質問という部分では、ひと昔前だと給料・待遇や休日、休暇制度に関する質問はタブーとされていました。
いまやぜんぜんタブーということはなく、ふつうに質問されることが多い事項なのではないでしょうか。

それはさておき、求職者から必ずと言っていいほどよく出てくる質問があります。

「自分が入社したとして将来どんなキャリアになっていきますか?」
「成長してキャリアを積んでいくために研修とかはどのようなイメージですか?」

いかがでしょうか?こうした質問が出てきた際にしっかりと質問に応えることはできますでしょうか?

一つ目の質問、「自分が入社したとして将来どんなキャリアになっていきますか?」について、モデルとなるキャリアステップのイメージは言語化、可視化されているでしょうか。
めやす年次として、直近2~3年経ったらどんなポジションでどんな力をつけ、どのくらいの年収になっているか?
5年くらい経ったら、どのような存在になっているか?
会社に入って将来は「成功している」イメージは持てるものかどうか?

そんなもんは入ってくる人次第で、キャリアは自分で作っていくもんだ!

残念ながらそんな風に考えている時点で、いまの時代に合っていないし、とうてい人材強者になることはできないと思います。

あくまでもモデルケースやモデルイメージでいいので、年数を踏んで経験を積んでいったときにどのようなステップでキャリアアップしているか、イメージできるよう言語化、可視化しておくことが重要です。
また、キャリアを上げていくためにどんなスキルをつければよいか、どんな資格が必要になるか、どんな成果が求められるのか、そうしたキャリアアップの要件も言語化しておくとよいでしょう。
そのようにキャリアを上げていくイメージのことを「キャリアプラン」と言っています。

二つ目の質問、「成長してキャリアを積んでいくために研修とかはどのようなイメージですか?」については、キャリアプランのなかでステップアップしていく具体的な道筋が準備されているのかということだと思います。

キャリアを上げるために実力はつけていってね。ただそのための方法・手段は自分で考えて!

昭和か平成の中盤くらいまでならそうした考えでもよかったかもしれません。
令和の時代においてはキャリアを積んでいく道筋をある程度会社として準備しておいて、迷わずに最短距離でキャリアアップに到達できるような環境が求められています。

採用募集をして面接に来た応募者がまともな人材であれば、高い確率で出てくる2つの質問。
それらに対して、その場しのぎで答える応酬話法を準備するということではなく、本当の意味で質問に応える会社の中身をつくっていくことだと思います。

いかがでしょうか?最重要の経営資源「ヒト」についての武器は揃えていますか?

ポイント2:採用絶好調な地方企業の社長の考え方

少し前に福祉用具&リフォーム経営研究会の会員企業さんにお伺いし、社長さんとお話をしていたときのこと。
人材採用の話になったのですが、その会社は地方の、あえて言葉を選ばずに言うと「ド田舎」の地域なのですが、採用は絶好調だそうです。

ハローワークや採用媒体を駆使しながらですが、質の良い人材が次々に応募してきて、良い人がどんどん決まっているとのこと。

面白いなと思ったのは社長の視点の話でした。
社長曰く、東京・大阪・名古屋の求人の条件なんかをネットでよく見ているそうです。
福祉用具レンタルを含めた介護関連にとどまらず、他業種も含めて幅広く、また職種も営業だけでなく幅広い視点で求人条件を見ているそうです。

ふつうは「そんな東京や大阪や名古屋みたいな都会の話はウチには関係ない。都会と地方はぜんぜん別物だよ。」と考える方がほとんどだと思います。

ところがこの社長の考えはまったく違います。

「いまから5年も経てば東京・大阪・名古屋で起こっていることは必ずウチの地域でも同じようなことになる。」
「どうせ5年後には同じ状況になってその時にあわてて合わせるくらいなら、いまから先んじてやっておくと後が楽だし、この地域では飛びぬけた存在になれる。」

そう考えて既存社員の待遇も一気に引き上げ、また募集時の条件も大幅に刷新したそうです。
そうすると応募に来る人数もどんどん増えたことに加えて、応募してくる人材の質もガラリと変わったとのことでした。

ものの見方、考え方を変え、条件設定を変えることで、どんどん人が集まる会社になっていっています。
この社長さんの考え方、大いに参考にしていただきたいと思います。

ポイント3:既存社員が「辞めたら損」と思う会社とは?

前述した地方の会社の社長さんのお話にもありましたように、既存社員の待遇を見直していくことも重要な点だと思います。

以前とくらべて転職へのハードルが下がっている昨今、人が辞めないというのは考えにくい世の中になりました。
人が辞めないということは無い話ではなく、むしろぜんぜん辞めると考えた方がいいと思います。

ただ、問題なのは辞めるときの辞め方です。

Aさん:新しくやりたいことができたので、そちらにチャレンジしたい
Bさん:他社で条件がいいところがあるので、そちらに移りたい

いかがでしょうか?
AさんとBさん、どちらが背中を押してあげたくて、どちらが悔しい思いで承服せざるを得ないでしょうか。

競業避止義務とかそういうことは少し置いておいて、こうしたことは現実にあり得ることだと思います。

既存社員にとっては、いまの会社を「辞めたら損」と思えるくらいにしていきたいところですね。
人材というお話になったときに、採用についての施策もさることながら、給与制度についてのテコ入れについても多くの会社さんでお話をさせていただいています。

給与制度については、

かなり以前に作成したままでそのままのものを使用している
給与制度そのものがなく、都度社長が自身の一存で、あるいは社員との調整で個々に決めている

という会社さんも多いのではないかと思います。

あらためて給与制度を含めた人事制度を見直していくことで、既存社員の流出の歯止めになることでしょう。
せっかくここまで一緒に歩んできた仲間が、給与や待遇という面で離れていってしまうというのは悔しい以外の何物でもありません。

ちょっとしたことで条件の改善につながり、社員のエンゲージメント(定着)が高まるとするなら、見直さない手はないと言えるでしょう。

今回のコラムでは、最重要の経営資源「ヒト」について考えるというテーマでお伝えしてきました。

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
シニア経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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