福祉用具レンタル業 福祉用具貸与事業立ち上げにチャンスはあるか!?

福祉用具レンタル事業を立ち上げようと思ってるんです!

ここのところ、立て続けにそんなお話をお伺いしています。
また、この数年で福祉用具貸与事業所を立ち上げたというところともどんどんご縁をいただいています。

今回のコラムでは福祉用具レンタルを事業としてやるのに勝機はあるのかどうか、考えていきたいと思います。

ポイント1:福祉用具レンタルの事業特性は?

まず福祉用具レンタル事業の立上げを考える際に、ざっくりと事業特性を理解しておくことだと思います。

福祉用具レンタルの事業特性は、

売上が爆伸びするわけではないが、ストックビジネスでコツコツ安定して稼げる

です。

売上が爆伸びするわけではないと書きましたが、福祉用具レンタルの年商規模はそんなに大きくありません。
業界では事業の規模を「利用者数」つまり客数で表現するのですが、利用者数と年商の関係はおおよそ次のようなイメージです。

状態利用者数年商
立ち上げて間もない時期利用者数 0~300名年商 5000万円未満
ようやく軌道にのるかどうかという時期利用者数 500~1000名年商 7000万円~1.5億円
利益面で安定し軌道に乗る時期利用者数 1000名~2000名年商1.5億円~3.0億円

年商規模が大きくないというのは、単価が低いことが要因です。
レンタルの平均単価は1.0万円~1.2万円といわれ、ざっくり言うと1人のお客様を獲得すると1万円売上が上がるということになります。

一方で、ストックビジネスでコツコツ安定して稼げるというところで言うと、お客様のレンタルが決まるとおおよそ1年~1.5年くらいの利用期間となります。
利用者数が累積していくことになり、一度売上をつくったらガクンと下がることはあまり考えられません。

一般的なショットのビジネスだと、今月500万円の売上が上がったと思ったら、来月は140万円だったということもあり得ます。
その点、レンタルはストックビジネスなので今月500万円の売上は、来月には500万円前後、ふつうにやっていれば毎月上積みしていくことになります。

まずは大きなポイントとして事業特性を押さえておいていただくと良いと思います。

ポイント2:知っておきたい損益ラインを超えるまでの道筋

事業立ち上げを考えたときに、気になるのは損益でプラスになるのにどうすればいいのか?

ということだと思います。

事業所を立ち上げるのに、人員要件として福祉用具専門相談員(≒営業)が2名必要とされています。
損益ラインとなる営業1名あたりの利用者数はだいたい100~150名です。

利用者数:100~150名
平均単価:1万円
レンタル売上:100万円~150万円
粗利益率:45%
粗利益:45~67.5万円

1人あたりの固定費としてかなり切り詰めれば45万円でもなんとかギリギリやりようは無くはないという感じですが、60万円を超えてくるのがふつうというところでしょう。
そう考えると、営業1名あたり150名の利用者数、人員要件を満たす営業2名だと利用者数300名が必要ということになります。

では、営業1名あたり利用者数150名までどのくらいで到達するでしょうか。
一般に月間の新規獲得数は営業1名あたり5件と言われます。
150名を月間5件で割ると、30か月(2年6ヶ月)を要することになります。

業界平均以上のペースで新規獲得できれば、もっと損益ライン到達までの期間は短縮される一方で、入院・入所やご逝去などで解約が発生することも加味すると2年~3年というのはあながち外れていないかなと思います。

けっこう時間かかるなぁ・・・

そう思われるかもしれません。

ちなみに先ほども言いましたように、ストックビジネスなので一度利益が出るようになると手堅く利益が残せるようになります。
なおかつ粗利率は45%程度と高めなので、売上が上がれば上がるほど利益率は高くなっていく傾向です。

そのように、事業立ち上げから利益を出していくまでのストーリーも頭に入れておきたいところですね。

ポイント3:福祉用具レンタル立ち上げに勝機はあるか?

では、いまから福祉用具レンタルを立ち上げて勝機はあるのでしょうか。

ハッキリ言って勝機はあると思います。

特に営業力に自信があるのであれば、完全に狙い目だと思います。

競合状況というところを考えると、世の中の福祉用具レンタルの営業の戦闘力はそんなに高くありません。
怒られてしまうかもしれませんが、強い営業:ショボい営業=3:7 くらいではないでしょうか。
つまり業界のなかの大半の営業は「ショボい営業」だと思います。

営業活動を行うのは、ケアマネージャーに対してのアプローチを行います。
ケアマネージャーから利用者を紹介してもらって、利用者に対してレンタルの契約を行うことで新規獲得となります。

ケアマネージャーから利用者を紹介してもらうには、ケアマネージャーから気に入られないといけません。

その要素としては次の通りです。
・清潔感がある
・話が簡潔でわかりやすい
・当たり前の気づかいができる
・動きが早い
・報告・連絡・相談がきちんとできる

そうしたことがきちんとできると「デキる営業」ということになり、ケアマネージャーから利用者を紹介してもらえるようになります。

え!?そんなことでいいの?

そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。

そう!それくらい福祉用具レンタル業界の営業の戦闘力は高くないのです。

そうした意味で、これからでも福祉用具レンタル立ち上げには勝機があると言えるのです。

今回のコラムでは、福祉用具貸与事業立ち上げにチャンスはあるか!?というテーマでお送りしてきました。
事業特性を知り、損益ラインを超えるまでの道筋を把握した上で、事業参入を考えていただくと良いと思います。

思い切って立ち上げてみたら、勝機は十分にありますよ!

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
シニア経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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