福祉用具レンタル業 「スタッフさんがいうことを聞いてくれない!」から脱却する方法

「スタッフさんがいうことを聞いてくれない!」

こんなお悩みを一度は思ったことがあるのではないでしょうか?

特に、イマドキ世代の新人スタッフや、前の職場のやり方や考え方が色濃く残るベテランさんたちとの接し方は永遠のテーマだと思います。

とはいったものの、スタッフさんひとりひとり、求められている接し方は違いますよね。

このテーマに関して、絶対の正解はないと思います。

が、このポイントは絶対に抑えるべきというポイントは存在しているのではないでしょうか。

今回はそのような接し方に悩みがちなスタッフさんとの付き合い方について、考えるべきポイントをみなさんと一緒に考えていきたいと思います。

ポイント1:「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」

これは、旧日本海軍・山本五十六の名言です。福祉用具レンタル業の現場でも、そのまま応用できます。

まず「やってみせ」。

先輩が自ら手本を示します。例えば商品の納品時の安全確認やお客様への配慮といった一連の流れを実践してみせるのです。

次に「言って聞かせて」。

行動で示した後、「なぜその手順なのか」という理由や背景を言葉で補足します。介護保険制度のルールや専門知識を丁寧に解説することも、スタッフさんの深い理解につながります。

そして「させてみせ」。

知識を得たスタッフさんに、今度は実際に業務を任せてみます。もちろん、最初は先輩がそばでサポートし、失敗を恐れずに挑戦できる環境を用意することが大切です。

最後に、最も重要なのが「ほめてやらねば」です。

「今日の利用者様への説明、分かりやすかったよ」など、具体的に褒めること。結果だけでなく、その過程や成長を承認することで、スタッフさんは自信とモチベーションが高まります。

このサイクルを粘り強く繰り返すことで、スタッフさんは成長実感とあなたへの信頼感を大きく感じることができるでしょう。

ポイント2:「みせしめ」だけは絶対やめよう

スタッフさんのミスを指摘しなくてはいけない場面は必ずあるでしょう。

しかし、方法を間違えてしまうと逆効果。

特に、他のスタッフの前で個人を叱責する「みせしめ」は、百害あって一利なしです。

人前での叱責は本人の自尊心を深く傷つけ、挑戦を恐れるようになったり、最悪の場合、離職につながります。また、周りのスタッフも萎縮させ、チーム全体のパフォーマンスを低下させるだけです。

報告書の修正など、小さな指摘は業務後などに個別に呼び、「こうしてくれると助かるな」とスマートに伝えるのが鉄則です。

また、グループチャットなどで個人に指摘を送る姿を、「マネジメントをしているというパフォーマンス」と捉えられ、信頼を損なうケースもあります。

もちろん、個人情報漏洩のような、組織全体で危機意識を共有すべき重大なコンプライアンス違反は例外です。

しかしその場合も、感情的にならず、冷静かつ毅然と説明したほうがよいでしょう。

ポイント3:かっこいい上司・先輩は「責任を負っている感」がある

スタッフさんが「この人についていきたい」と思うのは、実績以上に「責任を負う覚悟」が感じられる上司です。責任を回避する言動をとる上司が、尊敬されることは決してありません。

例えば、ポイント2で紹介したような、スタッフさんのミスをグループチャットで指摘する行為は、自分の保身が透けて見え、信頼を失う原因になります。

本当に信頼される上司は、スタッフさんがミスをした際に、まず「申し訳ありません。責任は監督者である私にあります」と、自らが矢面に立つ姿勢を見せます。

その覚悟がスタッフさんに「この人は自分を守ってくれる」という安心感を与え、失敗を正直に報告できる文化をつくりだすことができます。

結果的に組織全体のリスク管理意識が向上し、スタッフさんも「次こそは」と前向きな意欲を持つことができるのです。

まとめ

スタッフさんとの関係構築に悩んだとき、今回ご紹介した3つのポイントをぜひ参考にしてみてください。

プレイヤーとしての業務も多い「先輩」の立場では、全てを完璧に実践するのは難しいかもしれません。しかし、スタッフさんの育成とチームの成果に責任を持つ「マネージャー」は、これらのポイントを意識すべきだと思います。

スタッフさん一人ひとりと向き合い、成長を支援し、いざという時には責任を負う。その姿勢こそが強固な信頼を築き、スタッフが自律的に動く強い組織を作り上げるのです。

この記事を書いたコンサルタント
阪下 愛弥
阪下 愛弥
阪下 愛弥

2001年長野県生まれ。
大学時代はスポーツ科学を専攻する傍ら、有志の勉強会で経営学に触れる。大学時代に地方と都心の熱量の違いを痛感し、生まれ育った長野県をはじめとした地方の活性化に貢献すべく船井総合研究所に入社。
入社後は調査や業務効率化業務に従事。クライアントの業績アップはもちろん、社会にも貢献できる企業づくりに貢献できるよう尽力いたします。

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