福祉用具レンタル業 成長したくば先駆者から学べ!実際の成功事例5選

今に始まったことではありませんが、福祉用具レンタル業界では競争がますます激しさを増しています。

みなさまの多くが「現状維持で良いのか」「次の一手はどうすべきか」と、思考と情報収集をガンガン回されていると思います。

今回は我々船井総研が主催する、「福祉用具&リフォーム経営研究会」にご参加いただいている全国70社(2025年10月時点)のみなさまが実践された事例を5つ大公開いたします。

これらの事例をもとに、激化する競争環境を生き抜くヒントを、みなさまと一緒に考えてみたいと思います。

事例1:ケアマネさんの参加意欲を高める「研修受講証明書」の活用

ケアマネさんへの営業活動は基本中の基本ですが、多忙なケアマネさんと短い時間で密なコミュニケーションを取るのは結構難しいと思います。

そこでケアマネ向けの勉強会が営業ツールの一つの解決策に上がってくるのですが、勉強会の集客は容易ではありません。

そこで「研修受講証明書」を発行してみましょう。

「そのような施策で効果があるのか?」と思われるかもしれませんが、これはケアマネさんの潜在的なニーズを的確に捉えた戦略です。

多忙な業務の中、外部研修の受講機会は限られがちです。

一方で、居宅側としても、外部研修の受講実績が実地調査で問われたり、特定事業所加算の要件  に含まれていたりする場合があり、研修受講は実務的な重要性があります。

そこで、主催の勉強会 に参加することで「受講証明書」 がもらえるなら、その勉強会は単なる情報収集の場から、「自身の実務実績となる価値ある勉強会」へとランクアップさせることができます。

一枚の受講証明書が、参加を迷うケアマネさんの背中を押す、強力な集客ツールとなるのです 。

事例2:カタログの付加価値を高める「お役立ちページ」の併記

みなさん例外なく福祉用具のレンタルカタログを作成されていることでしょう。

しかし、そのカタログは、単なる商品リストで終わってませんか?

ある会員企業では、カタログの後半部分に「ケアマネお役立ちページ」 を設けています。

そこには、「訪問介護の基本的なルール」 、「医療行為にはあたらない、介護職が行えるケア」 といった実務知識から、「高齢者がよく使う薬の作用・副作用」 、「サービス単価表」  まで、ケアマネさんが日々の業務で確認したくなるような情報が豊富に掲載されています。

これにより、カタログは単なる用具選定ツールを超え、「介護実務者向けの参照資料」  、いわば「業務上のハンドブック」としての役割をもたせることができます。

ケアマネさんのデスクに常備されることで、貴社への接触頻度と信頼度を大きく深めることができます。

事例3:住宅改修受注につなげる「ベスポジ無料貸し出し」サービス

住宅改修、特に手すりの設置において、契約から完工までに2〜3週間程度の待機期間 が生じることは珍しくありません。

この間、利用者様やご家族は「転倒しないか」という不安を感じられるケースがあるのではないでしょうか。

その不安を解消し、さらに貴社のサービス力をアピールするチャンスを創り出すのが、「住宅改修時のベスポジ無料貸し出しサービス」 です。

ベスポジを、本工事が完了するまでの転倒予防策として無料で貸し出すことで、利用者様やそのご家族の安心感を最大限に高めます。

さらに、効果はそれだけに留まりません。無料でお試しいただいた結果、「ベスポジでもいいのでは?」と、工事完了後も別の場所で利用したいというニーズを引き出し、無料貸し出しから有料レンタル契約へと切り替わるケースも多々あります。まさに一石二鳥の戦略といえるでしょう。

事例4:住宅改修の収益性改善:「分離発注」による粗利アップ

貴社は住宅改修の施工を特定の工務店に「丸投げ」  していませんか?

「丸投げ」体制の場合、大工の人件費や材料費には当然ながら元請けの「利益」が上乗せされています。さらに、その大工が手配する下請け業者の価格にも、下請け業者の「利益」 に加えて元請けの「利益」  が乗るという、二重三重のコスト構造になりがちです。

これでは、貴社の粗利が圧迫されるのは避けられません。

そこで検討すべきなのが、「分離発注」 への移行です。

材料を自社で直接手配しましょう。そうすることで、材料費は「原価」 で調達でき、各専門業者へは「人件費」  を直接支払う形となります。

つまり、施工の一連の流れに介在していた複数の中間費用を削減できるわけです。

これにより、コストダウンと粗利アップを実現できます。

住宅改修は依然として差別化の武器として有効です。

差別化の武器として強化しつつ、収益性の向上もセットで狙っていきましょう。

事例5:専門性の強化による差別化:「PT(理学療法士)採用」

前述の住宅改修もそうですが、「他社との差別化」はほとんどの会社共通の重要な経営課題です。

福祉用具を単に提案するだけでは、価格競争に陥りやすく、競争優位性を保つことが難しくなっていきます。

この課題に対し、「専門性」という武器で立ち向かう事例が「PT(理学療法士)採用」 です。

ある会員様は、PTを採用し「歩行訓練」付きの歩行器レンタル という独自の高付加価値サービスを展開しています。

「リハビリの専門家が在籍している福祉用具事業所」として、ケアマネさんや利用者様に専門性の高さを強く印象づけることができます。

病院勤務のPTの中にも、新たなキャリアを模索している層は意外に多いのです。

福祉用具貸与事業に「専門性」という強みを付加したいなら、PT採用は専門性獲得への近道になるでしょう。

まとめ

以上、5つの成功事例をご紹介しました。貴社の経営戦略のヒントとなるものはありましたでしょうか。

大規模な経営改革のみならず、今回ご紹介した「研修受講証明書」 の発行や、カタログ  への「お役立ちページ」追加といった比較的小さなステップが大きな業績向上に結びつくケースは少なくありません。

まずは実践可能なものから一つ、貴社の業務に取り入れてみて高速でPDCAを回していきましょう!

この記事を書いたコンサルタント
阪下 愛弥
阪下 愛弥
阪下 愛弥

2001年長野県生まれ。
大学時代はスポーツ科学を専攻する傍ら、有志の勉強会で経営学に触れる。大学時代に地方と都心の熱量の違いを痛感し、生まれ育った長野県をはじめとした地方の活性化に貢献すべく船井総合研究所に入社。
入社後は調査や業務効率化業務に従事。クライアントの業績アップはもちろん、社会にも貢献できる企業づくりに貢献できるよう尽力いたします。

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