今後の介護保険制度の変化に伴う福祉用具の将来性は?

福祉用具の将来性は、高齢者人口の増加や「重度化防止」へのシフトにより、今後も拡大が予測されます。一方で、介護保険制度の改定による「貸与と販売の選択制導入」や「給付抑制」の動きも加速しています。今後は保険外(自費)サービスや住宅改修と組み合わせ、トータルで生活を支える事業モデルへの転換が生き残りの鍵となります。 回答(詳細)

1. 2040年に向けた市場の拡大と追い風

日本の高齢者人口は2042年頃にピークを迎えると予測されており、福祉用具の潜在的なニーズは依然として拡大傾向にあります。特に「自立支援」や「介護者の負担軽減」は、深刻な人材不足に直面する介護現場において不可欠な要素です。

人材不足の切り札: 訪問・通所介護の人手不足を補うため、移乗支援ロボットやICTを搭載した福祉用具の活用が推奨されており、テクノロジーとの融合による新市場の形成が期待されています。

重度化防止への貢献: 介護保険制度の基本方針である「重度化防止」において、適切な福祉用具の活用は身体機能の維持に直結するため、その重要性は今後さらに高まるでしょう。

2. 制度改正による「貸与・販売の選択制」の影響

直近の大きな変化として注目すべきは、一部の種目(歩行器や杖など)において、従来の「貸与(レンタル)」だけでなく「販売」を選択できるようにする制度の見直しです。

事業モデルの変革: これまではストック型のレンタル収益が中心でしたが、選択制の導入により「売り切り型」の収益構造への対応も求められます。

専門性の差別化: 販売が増えれば、一度きりの取引で終わるリスクが生じます。継続的なアフターフォローや、身体状況に合わせた再提案ができる事業所が、利用者やケアマネジャーから選ばれ続けることになります。

3. 「保険外(自費)サービス」との連動

給付抑制の動きが強まる中、保険内サービスだけに依存する経営はリスクを伴います。今後の将来性を担保するには、全額自己負担でも利用したいと思える「保険外サービス」の拡充が不可欠です。

高付加価値な提案: 保険適用外のおしゃれな杖や、より高度な機能を持つ海外製車椅子など、利用者の「こだわり」に応えるラインナップが、新たな収益源となります。

住環境のトータルコーディネート: 福祉用具に加え、住宅改修や整理収納といった「暮らしそのものを整えるサービス」をワンストップで提供することで、顧客単価(LTV)を最大化させることが可能です。

4. 船井総研の提言:制度変化を「チャンス」に変える経営

福祉用具事業の将来性は決して暗いものではありませんが、従来の「言われたものを届けるだけ」のスタイルでは淘汰される可能性が高いでしょう。

生産性の追求: ICT導入による事務作業の効率化を行い、捻出した時間を「専門的なアセスメント」や「営業活動」に充てる。

地域一番の専門家集団へ: 制度が変わっても、「最適な住環境を提案できるプロ」としての価値は揺らぎません。住宅改修やリハビリ視点を持った相談員を育成し、地域で圧倒的な信頼を得ることが、最も確実な将来への投資となります。

この記事を書いたコンサルタント
阪下 愛弥
阪下 愛弥
阪下 愛弥

2001年長野県生まれ。
大学時代はスポーツ科学を専攻する傍ら、有志の勉強会で経営学に触れる。大学時代に地方と都心の熱量の違いを痛感し、生まれ育った長野県をはじめとした地方の活性化に貢献すべく船井総合研究所に入社。
入社後は調査や業務効率化業務に従事。クライアントの業績アップはもちろん、社会にも貢献できる企業づくりに貢献できるよう尽力いたします。

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