おさらい解説 ~介護保険制度改正と福祉用具経営への影響~

◎みなさまこんにちは。
船井総合研究所の入江貴司です。いつも「福祉用具&リフォーム業績アップコラム」をお読みいただきありがとうございます。

皆様のお役に立てば幸いです。

≪要点をまとめると…≫

【ポイント1】介護保険制度改正は3年に1回、次は2024年度

【ポイント2】2006年度の改正でベッド・車いすが要原則介護2以上に

【ポイント3】2018年度には貸与価格の上限設定が導入された

≪以下 詳細内容≫
福祉用具レンタル業の経営者にとって気になる業界動向について、今後10回シリーズで連載記事をお届けしてまいりたいと思います。


連載していく記事のタイトルは、
<第1回>おさらい解説 ~介護保険制度改正と福祉用具経営への影響~
<第2回>おさらい解説 ~2024年度介護保険制度改正の行方~
<第3回>データで見る福祉用具経営 ~福祉用具13品目と介護度~
<第4回>データで見る福祉用具経営 ~マーケットサイズと購買頻度~
<第5回>福祉用具経営の業界展望 ~2021年の振り返りと2022年以降の方向性~
<第6回>福祉用具経営の業界展望 ~2024年度改正への対策 2つの方向性~
<第7回>福祉用具経営の業界展望 ~2024年度改正への対策 保険外領域の強化~
<第8回>福祉用具経営の業界展望 ~2024年度改正への対策 自社レンタルの強化~
<第9回>最新事例紹介 ~高回転自社レンタルモデルに取り組む介福本舗①~
<第10回>最新事例紹介 ~高回転自社レンタルモデルに取り組む介福本舗②~
おおよそ週1回のペースで配信してまいりたいと思います。みなさまぜひお付き合いいただければ幸いです。

さて、第1回の今回は「おさらい解説 ~介護保険制度改正と福祉用具経営への影響~」です。

◆ポイント1:介護保険制度改正は3年に1回、次は2024年度
よくご存じの方には当たり前のことかと思いますが、まずは基本的なところから。
介護保険の制度改正ですが、正確には「報酬改定」が3年に1回、「制度改正」が5年に1回実施されます。
「報酬改定」とは介護保険サービスを提供した事業者に支払われる「報酬」についてのルール変更を行うこと。
「制度改正」とは介護保険制度そのものを変更することを意味します。

これらがどのくらい福祉用具貸与事業所の経営に影響を与えるかというと、ルール変更の内容によってはかなり大きな影響を及ぼすことになります。
レンタルであれ、販売であれ、住宅改修であれ、売上のほぼ9割は介護保険が占めています。
売上の9割を占める介護保険の支払い方のルールが変わってしまうのですから、その影響は甚大なものになるというわけです。

実際にこれまでにも福祉用具貸与事業所の経営に大きな影響を与えた改正というのがありましたので、それらも振り返ってみたいと思います。

◆ポイント2:2006年度の改正でベッド・車いすが要原則介護2以上に
過去に福祉用具業界に大きな影響を与えたのは2006年の報酬改定ではないかと思います。
このときの内容というのが、ベッド・車いすの利用が原則として要介護2以上の利用者に制限されるというものでした。
ベッドと車いすといえば、福祉用具のメイン中のメインアイテムです。

全国の介護認定者のうち、要支援1・2および要介護1の方の比率はおよそ半数を占めています。
特例申請をすれば利用ができる可能性があるとはいえ、すべてのケースで申請をするわけでもなく、承認されるわけでもありません。
全体の半数を占めている要支援1・2および要介護1の方のメインアイテムが介護保険での利用ができなくなるということで、全国の福祉用具貸与事業所は一時的に大きな売上ダウンを余儀なくされました。

このように、福祉用具貸与事業所を経営する上では、こうした制度改正によって経営基盤が揺らぐというリスクを内包しているということも十分に認識しておくべきだといえます。

◆ポイント3:2018年度には貸与価格の上限設定が導入された
2006年ほど大きなものではありませんが、2018年に導入された貸与価格の上限設定というのも見逃せません。
これは全国の福祉用具貸与事業所が設定している貸与価格から、単品ごとの平均貸与価格を出し、平均貸与価格+σ(標準偏差)を上限とするというものでした。
この報酬改定によって、上限価格を超えるものは、上限価格を超過しない金額への変更が必要になりました。

実際に超過分の金額見直しによって売上ダウンを強いられたという影響も少なからずあったかと思います。
またそれに加えてカタログ、契約書の変更、請求システム内の商品マスタの変更など、膨大な事務作業負担が生じたというのも見逃せない点かと思います。

さて、今回の「おさらい解説 ~介護保険制度改正と福祉用具経営への影響~」では、介護保険制度の改正についての基本的な部分の確認と、過去の制度改正が与えた影響について振り返ってみました。
次回は約2年後に迫る2024年度改正の行方について見ていきたいと思います。

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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