- 2021.12.01
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福祉用具業界の時流
福祉用具経営の業界展望 ~2021年の振り返りと2022年以降の方向性~
◎みなさまこんにちは。
船井総合研究所の入江貴司です。いつも「福祉用具&リフォーム業績アップメルマガ」をお読みいただきありがとうございます。
≪要点をまとめると…≫
【ポイント1】2021年は業界には追い風。業績の伸びには大きな格差ができた!
【ポイント2】この1年半で業績を大きく伸ばした事業所の共通点は?
【ポイント3】2022年は業績にさらに差がつく!キーワードは「高成長&高収益化」
≪以下 詳細内容≫
福祉用具貸与の基本から現在の動向までシリーズでお届けしている連載コラムです。
第5回の今回は「福祉用具経営の業界展望 ~2021年の振り返りと2022年以降の方向性~」についてお書きしてまいります。
◆ポイント1:2021年は業界には追い風。業績の伸びには大きな格差ができた!
2021年も残すところ1か月弱となりました。
このコラムをお読みの福祉用具貸与事業所様のこの1年の業績はいかがだったでしょうか。
業界を概観すると、2020年に続き2021年も業界にとっては追い風の時期となったと私自身は捉えています。
思い起こせば昨年の4月のこと、史上初の「緊急事態宣言」となり外出や移動が一気に制限されることとなりました。
・いままでふつうにやっていたケアマネへの営業活動ができない・・・
・営業ができないのはおろか、出勤すらも制限される・・・
・このまま会社に誰も来ず、営業にもいけず、会社はどうなってしまうのか・・・?
そんな思いのなか、4月~5月の時期を過ごしたのが、もはや遠い昔のように感じてしまいます。
その後、何度かの緊急事態宣言やマンボウを繰り返す中で見えてきたのは、福祉用具貸与にとっては案外悪い状況ではないということでした。
・在宅向けのアイテムなので巣ごもりはむしろ需要が増える
・通所や入所・入院が回避される分、在宅の利用者が増え、必要なアイテムも増える
・ストック型収益なので一定期間営業活動が止まっても売り上げはそれほど大きく影響を受けない
そうした業界の環境もあり、福祉用具貸与業界にとってはむしろ好都合、追い風の2年間だったと言えるのではないでしょうか。
ただ、いろんな企業様のお話をお聞きしていると、業績を大きく伸ばしたところと、以前とあまり変わらず横ばいというところと、大きく分かれるように思います。
事業環境としてはどの企業も等しく追い風だったとしても、それぞれの企業では業績格差が生じているということになります。
その要因はどのような部分にあるのでしょうか?次のポイントで考えてみたいと思います。
◆ポイント2:この1年半で業績を大きく伸ばした事業所の共通点は?
船井総研では、福祉用具&リフォーム経営研究会という会員制勉強会を主催しています。
あくまでもこの研究会の会員企業様のなかでのお話ではありますが、
・利用者数の純増で年間+300名(2000名⇒2300名)
・商圏シェア+5ポイント(22%⇒27%)
・営業2名で新規レンタル獲得年間320件
・事業拡大のために新規出店を仕掛ける事業所が続出
・営業利益率10%超の事業所が30社のうち5社
といった具合に、このコロナ禍のなかでも?、この追い風をうまくつかんで?、大きく業績を伸ばされた企業様が続出しています。
業績を大きく伸ばした会社と、例年とほぼ変わらず横ばいの会社。
事業環境が同じでも業績に差ができるのは、これら企業様に共通する「なにか?」があるのだと考えるのが自然でしょう。
では業績を伸ばしている企業様に共通している要素とは何なのか、少しピックアップしてみました。
①常に「攻め」の姿勢を緩めずに活動している
例えば、訪問シャットアウトの時はいち早く動画ツールや、オンライン営業に切り替えて非接触営業で「攻める」
例えば、緊急事態宣言・マンボウが解除されるや、いち早くケアマネ向け体験型勉強会を仕掛けて「攻める」
②営業面での「攻め」とともに、成長にともなって必要となる社内体制や組織の整備も進めている
例えば、サポートスタッフを採用し、営業との分業体制を整える
例えば、拠点展開にともなって必要となる店長人材の育成に着手する
例えば、社内のワークフローや書類管理にデジタルを導入する
③社内での「当たり前」の基準が高いので入社した人材がどんどん成長する
例えば、営業成果の「当たり前」基準が高い
例えば、利用者様への対応、サービスの質が高い
例えば、ケアマネへの報告・連絡のスピードや頻度の「当たり前」基準が高い
例えば、入社してから一人前になる期間が短い
といった感じでしょうか。
業績を伸ばしている会社はこれからもどんどん業績を伸ばし、横ばいの会社はいつまでも横ばいのまま。
そのようにな現象が今後ますます顕著になっていくのではないかと予測します。
◆ポイント3:2022年は業績にさらに差がつく!キーワードは「高成長&高収益化」
先ほど述べたように、業績を伸ばす会社といつまでも横ばいの会社の差はこれからどんどん広がっていくことになります。
2021年の後半から感染症の影響は沈静化してきています。
2022年はさまざまな面で世の中が正常化していくことでしょう。
これまで制限されていたこと、なんとなく控えていたことなど、制限が外れて動き出すときが訪れることになります。
この2年間でシェアを上げた、地力をつけた、自らの武器を磨いた、そんな会社はますます地域からの支持が集まることになり、そうでない会社との差は一気に開いていくと思います。
そんななか、これからの福祉用具貸与事業所が意識するキーワードは「高成長&高収益化」だと私は考えています。
伸びる会社がさらに業績を伸ばし、加えて利益率をどんどん高めることとなる。
社内の体制整備などを通じて社員の生産性が高まり、また利益を上げるにつれて社員への還元も増え、社内の幸福度が高まる。
そんな福祉用具貸与事業所をイメージしています。
福祉用具貸与事業所が「高成長&高収益化」を図っていくにはそれぞれの立ち位置に応じたステップがあります。
①営業利益率 マイナス~数%の段階
とにかく利用者数を増やして損益ラインを突破する。
そのために着実に新規レンタルを獲得できるビジネスモデルが必要となる。
②営業利益率 6~8%の段階
損益構造の見直しに着手する
レンタル粗利・住宅改修粗利を上げられる手法を導入する
③営業利益率 10%~の段階
将来のさらなる成長にむけて投資する
介護保険以外の自費領域をつくっていく
本コラムをお読みのみなさまは、現在どの段階でどんな手を打っていますでしょうか。
ぜひ、適切な時機に適切な処方箋を投じて「高成長&高収益化」を目指していただきたいと思います。
さて、今回は福祉用具経営の業界展望 ~2021年の振り返りと2022年以降の方向性~というテーマでお送りしてきました。
次回は福祉用具業界の展望として、福祉用具経営の業界展望 ~2024年度改正への対策 2つの方向性~というテーマについてお届けしていきたいと思います。
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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司
【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。
⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp