- 2021.12.08
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福祉用具業界の時流
福祉用具経営の業界展望 ~2024年度改正への対策 2つの方向性~
◎みなさまこんにちは。
船井総合研究所の入江貴司です。いつも「福祉用具&リフォーム業績アップコラム」をお読みいただきありがとうございます。
≪要点をまとめると…≫
【ポイント1】手すり・歩行器・杖のレンタル外しが最大の関心事
【ポイント2】レンタル外し対策の方向性は大きく2つ
【ポイント3】2年後に向けてタイムリミットはすぐそこ!今のうちに形をつくろう!
≪以下 詳細内容≫
福祉用具貸与の基本から現在の動向までシリーズでお届けしている連載コラムです。
第6回の今回は「福祉用具経営の業界展望 ~2024年度改正への対策 2つの方向性~」についてお書きしてまいります。
◆ポイント1:手すり・歩行器・杖のレンタル外しが最大の関心事
この10回連載シリーズの第2回「おさらい解説 ~2024年度介護保険制度改正の行方~」でもお伝えしましたが、2024年度介護保険報酬改定の最大の焦点は手すり・歩行器・杖のレンタル外しの動向です。
少しダイジェストで振り返っておきましょう。
そもそもの発端は財務省の予算執行調査での厚労省に対する指摘・提言にあります。
議論を要約すると、軽度者向けのケアプラン料が高くなっていて、その中には福祉用具だけ使っている人がかなり存在する。軽度者に多い手すり・歩行器・杖を貸与から販売に変えればケアプラン料がかなり抑制されるのではないか?といった指摘がなされているのです。
全国の要介護(要支援)認定者の介護度別総数・構成比を見ると、要支援1・2、要介護1・2のいわゆる軽度者が占める比率は65%に上ります。
またこれら軽度者の使用する福祉用具のうち、手すり・歩行器・杖の構成比は、
手すり 24.9%
歩行器 37.6%
歩行補助杖 5.6%
となり、合計68%に達します。
会社によって軽度者の比率やレンタル商品の構成比は微妙に異なると思いますが、一般論として軽度者65%×手すり・歩行器・杖68%とすると、レンタル品目の44%を占めることとなります。
つまりは、2024年度の報酬改定において本当に手すり・歩行器・杖のレンタル外しが行われた場合、福祉用具レンタル業界にとって、大きな影響が出るのは避けられないといえるでしょう。
大きな影響が出るからこそ、業界としては報酬改定の審議の行方を注視しているというわけなのです。
◆ポイント2:レンタル外し対策の方向性は大きく2つ
先述したように2024年度の報酬改定の行方によっては福祉用具レンタル業界に大きな影響が生じます。
いまのところ、どう決着するかまだまだ審議を見守るしかないのですが、いろんなケースを想定した対策を取っておくことはできると思います。
では、そうしたレンタル外しに対してはどう対策をしていけばいいのか?
私は大きな方向性は次の2つだと考えています。
対策の方向性①:保険外領域の開発・強化
大きな影響を受けるのは、介護保険を使ったビジネスであるためです。
制度ビジネスである以上、そのレギュレーション変更によって影響を受けるのは避けられません。
そうであるならば、介護保険を使わない領域、自費でのビジネスを開発・強化していくというのが一つの方向です。
例えば、自費の販売やリフォーム。
福祉用具&リフォーム経営研究会の会員企業様のなかには、複数事業のなかで家具や仏壇・墓石を販売する部門を持たれているところがあります。
福祉用具レンタルを行うケアサポート事業部の客層と、家具や仏壇・墓石の客層はうまい具合にラップします。
ケアサポート事業部のお客様に、家具や仏壇・墓石をクロスセルすることで自費売上を積み上げ、非常に高収益な事業にされているのが特徴的なところです。
また、自費でのリフォームを伸ばしていっている会員企業様もいらっしゃいます。
利用者様の住環境の改善を図るなかで、トイレやお風呂などの水まわり関連は生活動線としてとても重要な部分です。
手すり工事や床材変更など住宅改修でカバーできる部分もあれば、いっそ新しくリフォームしてしまった方が有効な場合もあります。
そうしたニーズをキャッチすべく、トイレリフォームやユニットバスリフォームを中心に、自費リフォームを開発・強化していくというのも大いにありだと思います。
対策の方向性②:自社レンタルの強化
え?レンタル外し対策がなんで自社レンタルなの?
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
私もはじめてお話をお聞きしたときは、「???」という感じだったのですが、よくよく話を聞いてみると「なるほど!」と納得させられました。
現在、レンタル卸を使ってのダブルレンタルで運営されている会社様が、手すり・歩行器・杖など商品を絞って自社レンタル化を図っていくという逆張りの発想です。
レンタルビジネスというのは、仕入れた商品代金をレンタル料で少しずつ回収しながら商品を償却していくビジネスです。
10,000円で仕入れた商品を月額2,000円でレンタルするなら、5か月間のレンタルで回収できます。
回収してしまった後は実質原価ゼロで回すことができ、とても高粗利の商売ができるというビジネス特性です。
いまのうちに手すり・歩行器・杖などのアイテムを自社レンタル化して、それらの商品を償却しきっておくというのがこの対策の考え方です。
例え自費でレンタルしたとしても、販売したとしても、原価ゼロであればかなり自由度が高い対応ができると想定されます。
このように、①:保険外領域の開発・強化、②:自社レンタルの強化の2つが対策の大きな方向性として考えられるものなのです。
◆ポイント3:2年後に向けてタイムリミットはすぐそこ!今のうちに形をつくろう!
早いもので2021年はもうすぐ終わり、2022年が目の前に近づいています。
2024年度の報酬改定は残り2年となりますが、しっかりと手を打ち形にする期間を考えると、タイムリミットはすぐそこに迫っていると捉えるべきでしょう。
「たいへんだ・・・」
「どうしよう・・・」
右往左往している間に、あっという間に時間は過ぎてしまいます。
一方で、アンテナの高い経営者はすでに対策の動きをしていっています。
このコラムをお読みの経営者様は、業界に先んじた動きをしていくべく、積極的に情報を集めておられることと思います。
ただし、「知っている」ことと「やっている」ことはぜんぜん違います。
ぜひ、情報を集めていただいた上で、今のうちに形をつくるべく行動を起こしていただきたいと思います。
さて、今回は福祉用具経営の業界展望 ~2021年の振り返りと2022年以降の方向性~というテーマでお送りしてきました。
次回は福祉用具業界の展望として、福祉用具経営の業界展望 ~2024年度改正への対策 保険外領域の強化~というテーマについてお届けしていきたいと思います。
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★住宅改修×福祉用具 セット提案モデルをわかりやすく解説
福祉用具レンタル業 なぜセット提案モデルは業績が上がるのか?
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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司
【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。
⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp