福祉用具経営の業界展望 ~2024年度改正への対策 保険外領域の強化~

◎みなさまこんにちは。
船井総合研究所の入江貴司です。いつも「福祉用具&リフォーム業績アップコラム」をお読みいただきありがとうございます。

≪要点をまとめると…≫

【ポイント1】介護保険に依存しない事業体質とは?

【ポイント2】住宅改修の進化版、保険外リフォームビジネスのイメージ

【ポイント3】いま注目の新規事業!保険外レンタルビジネスのイメージ

≪以下 詳細内容≫
福祉用具貸与の基本から現在の動向までシリーズでお届けしている連載コラムです。
第7回の今回は「福祉用具経営の業界展望 ~2024年度改正への対策 保険外領域の強化~」についてお書きしてまいります。

◆ポイント1:介護保険に依存しない事業体質とは?
ある程度業績を積んでいらっしゃる企業様になるほど皆こうおっしゃいます。
「介護保険に依存しない事業領域をつくりたい。」

福祉用具レンタル業というのは、言うまでもなく介護保険と密接に関連する制度ビジネスです。
良い面としては、
・介護保険で9割が支払われるため受注のハードルが極めて低い
・価格設定で極端な安値設定をする必要がなく粗利が確保できる
・国保連からの入金は未収リスク・遅延リスクがほぼゼロ

一方で経営の制約となってしまう面としては、
・申請になにかと手間がかかり生産性を下げる要因となる
・報酬改定により書類が増加したり事務作業が増えるなど影響を受ける
・報酬改定の行方によっては売上の大半を消失してしまうリスクがある

しっかりと業績を積み、強いポジションを築いている企業様であるほど介護保険制度の恩恵を存分に受けている反面、それが逆回転に向かったときのリスクもものすごく大きなものになってしまうことはみなさま感じている懸念事項だと思います。
であるからこそ、恩恵はしっかりと受けつつも、例え報酬改定により逆回転してしまったときにも影響を小さく抑えることができるよう、「介護保険に依存しない事業領域をつくりたい。」と考えるのは自然のことだと思います。

船井総研・福祉用具&リフォーム経営研究会では企業様の成長ステージごとに現在の立ち位置を確認し、適切な打ち手を講じることができる「高成長&高収益化ロードマップ」をまとめています。
よろしければ、こちらのレポートをご覧いただき「高成長&高収益化ロードマップ」をご確認いただければと思います。
無料ダウンロードレポート:高成長&高収益を生み出す福祉用具レンタル業の考え方

このロードマップでも、十分に業績を伸ばし営業利益率10%超が見えてきている企業様には、保険外領域の開発・強化を講じていくべきと提唱しています。
今回のコラムでは保険外領域の開発・強化として、
◆保険外リフォームビジネス
◆保険外レンタルビジネス
の2つについて以下に述べていきたいと思います。

◆ポイント2:住宅改修の進化版、保険外リフォームビジネスのイメージ
このコラムをお読みの福祉用具レンタル会社様でも、住宅改修のお仕事をやっているとなかにはこういうケースもあるのではないかと思います。
・住宅改修の枠を超えて一部自費でのリフォームになった
・工事の内容として住宅改修の範囲に適さないので、自費での工事になった
・そもそも住宅改修でなく、ふつうのリフォームとして案件が出てきた
そのようなケースは受けておられることがあるかと思いますが、それをさらに進めて保険外リフォームビジネスとして展開していくイメージです。

保険外リフォームのビジネス公式は下記のようになります。

売上=案件数×見積率×成約率×平均単価

実は住宅改修でも保険外リフォームでも、この公式としては同じものになります。
住宅改修の場合は、

売上=案件数×見積率(≒100%)×成約率(≒90%)×平均単価(≒10万円)

仮に案件数(相談案件数)が10件だったとすると、10×100%×90%×10万円=90万円が売上となります。
保険外リフォームの場合は、次のようなイメージとなります。
・見積率は「ちょっと聞いてみただけ」というものも含まれるので、おおよそ60%程度で見る。
・成約率はある程度関係ができているお客様と考えて住宅改修と同じく90%で想定する。
・平均単価は30万円程度を狙いたい

なので、仮に案件数(相談案件数)が10件だったとすると、10×60%×90%×30万円=162万円が売上となります。

ここでのポイントは、案件数を確保することと、平均単価30万円を狙える商品構成にすることです。
平均単価30万円を狙おうとすると、トイレリフォーム/お風呂リフォームを中心に据えないとそこまでの単価は期待できません。
よくあるお話なのですが、水まわりの修理とか、建具の調整などの小工事をお客様の言われるがままに対応していても絶対に単価は上がりません。
トイレ/お風呂のリフォームを明確な意思をもって提案していくことが必要となります。

平均単価30万円が狙える商品構成を組み、相談案件数を確保することができれば、年間5000万円程度の事業規模はつくっていくことができます。
相談案件数:25×見積率:60%×成約率:90%×30万円≒400万円/月

どのくらいの売上を保険外領域でカバーできればいいかというのは、もともとの事業規模によると思います。
上記のビジネス公式を参考に、保険外リフォームでの想定事業ボリュームを組み立ててみてはいかがでしょうか。

◆ポイント3:いま注目の新規事業!保険外レンタルビジネスのイメージ
福祉用具レンタル会社様が取り組む新規事業としていま注目されているのが、保険外のレンタルビジネスです。
高齢者施設の入居者様を対象とした「家電・家具レンタル」をご紹介させていただきます。

施設向け 家電・家具レンタルとは!?
家電・家具レンタルとは、サ高住や有料老人ホームに入居する方に対して居室内で使用する家電や家具など身の回り品をレンタルするビジネスです。
期間が読めない一時的な入居で、家電や家具を購入する、あるいは自宅からもってくるのは負担に感じるところ、レンタル利用を提案することで入居者の不便を解消します。
一方で、高齢者施設にとっては入居時に説明するだけ、コストゼロで導入することができ、かつ他の施設との差別化が図れるということで採用が進みます。
入居者、またはご家族との契約は自費でのレンタルとなるため、介護保険制度に頼らないビジネスとして注目が集まっています。

福祉用具レンタル会社様のなかでも、新規事業をご検討される際には下記の項目をぜひチェックいただきたいと思います。
□福祉用具の利用者数はある程度の件数をもっている
□そこそこ利益は堅調に出るようになっている
□今後の採用も含めて、動かせる人員の余力はある
□将来にむけて「何か」新規事業を進めたいと考えている
□新規事業とはいえ、まったく畑違いは考えられない
□低投資でスタートでき、運営もローコストに回したい
□国の制度に振り回されず、自由度のある運営をしていきたい
□既存事業との相乗効果があれば言うことなし
□介護保険制度の今後の動向にはとてもセンシティブである
□2024年までに新たな次の一手を打っておきたい

これらの項目のうち5つ以上チェックがつくようであれば「家電・家具レンタル」を真剣にご検討いただければと思います。

こちらの新規事業につきましては、2022年の年始以降にみなさまにより具体的にご案内させていただきたいと思います。
ぜひお楽しみになさってください。

さて、今回は福祉用具経営の業界展望 ~2021年の振り返りと2022年以降の方向性~というテーマでお送りしてきました。
次回は福祉用具業界の展望として、福祉用具経営の業界展望 ~2024年度改正への対策 自社レンタルの強化~というテーマについてお届けしていきたいと思います。

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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