福祉用具経営の業界展望 ~2024年度改正への対策 自社レンタルの強化~

◎みなさまこんにちは。
船井総合研究所の入江貴司です。いつも「福祉用具&リフォーム業績アップコラム」をお読みいただきありがとうございます。

≪要点をまとめると…≫

【ポイント1】なぜいま「自社レンタルの強化」なのか!?

【ポイント2】自社レンタル強化でもたらされる報酬改定リスクへの対策

【ポイント3】自社レンタル強化でもたらされる経営へのメリット

≪以下 詳細内容≫
福祉用具貸与の基本から現在の動向までシリーズでお届けしている連載コラムです。
第8回の今回は「福祉用具経営の業界展望 ~2024年度改正への対策 自社レンタルの強化~」についてお書きしてまいります。

◆ポイント1:なぜいま「自社レンタルの強化」なのか!?
2024年度の改正への対策として「自社レンタルの強化」と言われて、すぐに「なるほど!」と思われる方はそう多くないのではないかと思います。

「え!?なに言ってんの?いまさら自社レンタル?」
というのが率直な感想ではないでしょうか。

また一方で、後発で福祉用具レンタル業界に参入されている会社様、小規模で卸レンタルを活用しながら大資本の自社レンタル強者と日々戦っておられる会社様は、
「はいはい、大手さんがやる話でしょ。そりゃ資本力があれば何とでもできるでしょ。」
という感想を抱かれたかもしれません。

今回お伝えする「自社レンタルの強化」は業界内でも多くの大手・広域事業者がやっているような大資本を投下するようなものではありません。
利用者数500~1000名程度の中規模クラスの貸与事業所様でも取り組むことができる「自社レンタルの強化」をイメージしていただければと思います。

この局面でどうして「自社レンタルの強化」に取り組むことを提案しているのか?
なぜそれが次の報酬改定への対策となりうるのか?
その辺りを今回のコラムではお伝えしてまいりたいと思います。

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◆ポイント2:自社レンタル強化でもたらされる報酬改定リスクへの対策
今回お伝えする「自社レンタルの強化」は、手すり・歩行器・杖など商品を絞り込んで自社在庫商品でレンタルを回していくというものになります。
従来のいわゆる自社レンタルのように、ベッドからマットレスからフルラインナップで自社レンタルにするものとはイメージが異なります。

従来の自社レンタルではフルラインで自社在庫商品を回すことにより70%以上という高い粗利率を誇るものでした。
一方で今回お伝えする自社レンタル強化では一部の商品に絞って自社レンタル化するため、粗利率は50~60%とそう高いものではありません。
ただし、使用頻度が高く対象となる利用者数も多いため、高回転でレンタルを回すことができるものと理解していただければと思います。

「で、それがどうして報酬改定リスクへの対策になるの?」
ということなのですが、手すり・歩行器・杖などのアイテムが2024年度の報酬改定で「レンタル外し」となる可能性が議論されています。
毎月継続的にケアプラン料が発生する【貸与】ではなく【販売】へと切り替わるか、あるいはレンタルで利用したいが介護保険は使用できず【自費レンタル】で貸すことになるか。

例えば【自費レンタル】で貸すことになった場合、レンタル卸さんがどう動かれるかは現時点ではまったく不明の状態でありつつも、ほぼ粗利はベタベタか、ともすると逆ザヤに近い金額設定もないわけではないと思います。
それはどこの貸与事業所も同じ状況であり、【自費レンタル】での価格競争に陥ってしまうことも十分に考えられます。
そうなった際に、いまから自社レンタル化を進めていき対象の商品の仕入金額を回収しきってしまっていたらどうでしょうか?
計算上、原価ゼロで貸し出すことができ、いくらでレンタル料金を設定したとしても粗利100%でレンタルすることができます。

ポイントは2024年度を見据えていまのうちから自社レンタル化を進め、商品の仕入れ金額をいまのうちに回収しきってしまうという点にあります。
中規模クラスの会社様であれば、十分に進めておいて無理のないリスク対策なのではないかと思います。

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◆ポイント3:自社レンタル強化でもたらされる経営へのメリット
先述したように「自社レンタルの強化」によって2024年度報酬改定へのリスク対策の手を打つことができます。
では、もしも懸念されているようなレンタル外しが結果として無かったとしたらどうでしょうか?

それでも「自社レンタルの強化」に取り組むことで、十分に経営上のメリットがあるというのが面白いポイントです。

経営上のメリットについては、業界に先んじて「自社レンタルの強化」に取り組んでいる福岡県の株式会社介福本舗様の例でお話すると、
①ゼロからはじめた自社レンタル品の比率は24%にまで上昇
②粗利率は46%⇒53%まで上昇
③営業利益率も±0%⇒9.2%まで上昇
④キャッシュフローは年間+10,000千円
といった成果が表れています。

①については、「自社レンタルの強化」に取り組むことで、当然ながら卸レンタル品:自社レンタル品の比率が変わっていき、自社レンタル比率が上昇してくことを意味しています。
②については、レンタル粗利率50~60%を想定すると言いましたが、本当に粗利率が上がるのか?という疑問に答えることができる数値だと思います。
③については、レンタル粗利は上昇するものの、商品在庫や洗浄・消毒、配送などこれまで不要であった固定費が発生するなか、しっかり会社として利益が出せることを実証しているデータといえます。
④については、粗利も営業利益も上がる一方で、商品仕入れなどでキャッシュフローが悪化するのでは?資金繰りは大丈夫?という疑問を払拭してくれるものではないでしょうか。

つまり、「自社レンタルの強化」とは、【報酬改定のリスク対策】であるとともに【会社の高収益化】を図る有効な打ち手であると理解していただけると思います。
ただしやみくもに自社レンタル化していっても良いというものではありません。
ポイントを押さえて正しく進めることが重要であり、そうしたポイントを2022年1月にみなさまにしっかりとお伝えする予定でおります。
ぜひこちらのセミナーをお見逃しなく、お早めに将来への布石を打っていただくようにお願いいたします。

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さて、今回は福祉用具経営の業界展望 ~2024年度改正への対策 自社レンタルの強化~というテーマでお送りしてきました。
次回は福祉用具業界の展望として、最新事例紹介 ~高回転自社レンタルモデルに取り組む介福本舗①~というテーマについてお届けしていきたいと思います。

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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