新規事業の可能性を探る ~家電・家具レンタルの収益性・投資回収~

◎みなさまこんにちは。
船井総合研究所の入江貴司です。いつも「福祉用具&リフォーム業績アップコラム」をお読みいただきありがとうございます。

≪要点をまとめると…≫

【ポイント1】レンタルビジネスの粗利構造

【ポイント2】固定費が極めて低いビジネス

【ポイント3】投資回収のめやすは3年

≪以下 詳細内容≫
新規事業の可能性を探るシリーズ、みなさま楽しんでお読みいただいておりますでしょうか。
第4回は新規事業として進めていく魅力があるかどうかを考える重要なテーマ:収益性と投資回収についてを取り上げます。
ますます不透明さを増していく業界の未来に対して、将来のためにどんな投資をしていくのか、ご検討していく際の判断材料になれば幸いです。

◆ポイント1:レンタルビジネスの粗利構造
新規事業の立上げを考えるときに、ひとつの考え方として損益分岐点がなるべく低くなるように設計するということがあります。
損益分岐点が低ければ、黒字化させるまでのスピードが断然早くなるのは当然のこと、ましてレンタルのような積み上げ型のビジネスの場合、損益分岐点にいかに早く到達するかが大きなポイントになることはみなさまもよくご理解いただけると思います。

損益分岐点を低くすることを考える上でのポイントは2つです。一つは粗利率を高くすること、もう一つは固定費を下げること。
まずは粗利率を高くするという点について考えていければと思います。

粗利率といった際に、はじめにレンタルビジネスの特性を押さえておく必要があると思います。
レンタルというのは自社で仕入れた商品を貸し出すことで、利用料を支払ってもらいその利用料の積み重ねで仕入代金を回収していくビジネスです。
ふつうの商品販売では、仕入れた商品を売ることで1回で仕入れ代金を回収しますが、一定の期間・回数の貸出で分割によって回収していくところが異なります。

例えば10,000円の商品を月額1,000円でレンタルすることを考えてみましょう。
月の利用料が1,000円なので、仕入れ代金の10,000円を回収できるのは10か月後となります。
レンタルビジネスがうまみを発揮するのは11か月後から。
11か月以降は利用料1,000円がまるまる粗利となってお金を生むことになるのです。
実際にはまだまだ回収しきっていない商品も、すでに回収しきってお金を生むだけの商品も、複数の商品が組み合わさって稼働していきます。
だからこそ、レンタルが軌道に乗ってくると粗利率70%とか80%という高い粗利率での商売を回していくことができるのです。

そのように考えると、事業を組み立てる上での要点として、
【安く仕入れてレンタルで回して早く回収すること】
ができれば、高粗利でのレンタルビジネスを進めていくことができるでしょう。

家電・家具レンタルの場合、家具については高齢者仕様のものを推奨していますが、家電についてはユーズド商品を仕入れて回すことを想定しています。
ユーズド商品であれば仕入金額を抑えることができ、早期回収・高粗利でレンタルしていくことができると思います。

損益分岐点を低く設計するために粗利率を高くする。高粗利のために安く仕入れてレンタルで回す。
そうしたレンタルビジネスの粗利構造をまずはしっかりと押さえていただければと思います。

◆ポイント2:固定費が極めて低いビジネス
損益分岐点を下げるためのポイント2つ目は、固定費を下げること。
その点、家電・家具レンタルは固定費が極めて低いビジネスです。

まずは人員について。
家電・家具レンタルに新たな追加人員は必要ありません。
例えば、既存事業である福祉用具レンタルのメンバーから1人、施設開拓を行う営業として進めていただくことができます。
福祉用具のように定期的なモニタリングなどありませんので、レンタルが始まってしまえば基本は手離れよく商品が稼いでくれると考えていただいていいと思います。
入居される際の納品や、退去の際の引上げで一時的に人手がいる場面もありますが、その際は他部門から応援するか、アルバイトでも対応することができます。

次に事務所について。
これも新たな事務所などは必要なく、既存事業の事務所の一角でスタートできます。
前々回の~家電・家具レンタルの立上げ要件~でも述べたように、事務所に相談コーナーも必要なければ不潔ルートと清潔ルートを分ける必要もありません。
事務所家賃という意味でも、固定費を抑えて立上げを進めていくことができます。

また倉庫スペースについて
「そうは言っても倉庫とかけっこう必要なんじゃないの?」
確かに商品の保管など、倉庫スペースをまったく無しにというわけにはいきません。
ただ、できるだけミニマムなスペースで立上げができるように考えていきたいところです。
実際に家電・家具レンタルを進めている会社様でも、倉庫スペースは本当に最低限のものにされています。
考え方として、商品のほとんどを自社倉庫に置かないようにしているためです。
そのうちの一つが「モデルルーム作戦」でして、施設様に空き部屋があるのであればそこをモデルルームにする提案をしていっています。
商品は持出となりますが、その分①在庫スペースとして使わせていただくことができる、②入居相談の際に積極的に家電・家具レンタルを紹介してもらえる、③入居相談の際の成約率も上がるという施設様側のメリットもあります。

これらの点をはじめとして、人件費、地代家賃、その他経費などできるだけ固定費を抑え、新規事業の損益分岐点を下げていく上でのポイントになります。

◆ポイント3:投資回収のめやすは3年
ここまで、新規事業の立上げにあたり、損益分岐点を下げるために、粗利率を上げる、固定費を下げるという点をお伝えしてきました。
損益分岐点を低く設計することが、黒字化までのスピードを早め、投資回収期間を短くすることにつながるでしょう。

われわれの試算では、投資回収のめやすとして3年をラインとしています。もちろんこれは、商圏や実行スピードによって変動しますが、新規事業としてはこれくらいの投資回収期間で考えたいところです。
いまのタイミングで立上げを進めておくと、2024年の報酬改定までには事業として軌道に乗せるメドが立てられると思います。

ずっと介護保険制度に依存したビジネスだけを続けていくのか。
いまのうちから介護保険制度に依らないビジネスの仕込みを行っておくのか。
その決断によって、3年後の未来の景色は大きく変わってくるのではないでしょうか。

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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