「福祉用具レンタル業 人材採用力が成長格差を生む時代が来る!?」
みなさんの会社の人材採用力はいかほどでしょうか?
持続的に成長している企業ほど常に人材ニーズを抱えているといえるでしょう。
船井総研で主催している福祉用具&リフォーム経営研究会の会員企業様の多くが毎年業績を伸ばし、成長するがゆえに人材の募集を常にかけている状態となっています。
人材を採用できる力があればそれだけ戦力を増強することができ、事業を成長させることができるでしょう。
そう考えると、人材採用力が成長格差を生むといっていいのではないでしょうか。
2023年という新しい年が明け、そういう時代がいままさに目の前にきています。
今回のコラムでは「人材採用力が成長格差を生む時代が来る!?」というテーマでお送りしていきたいと思います。
ポイント1:成長する企業と成長が止まる企業
これからの時代、かたや成長する企業と、もう一方で成長が止まる企業、次のようなシナリオが考えられます。
成長する企業
利用者獲得が順調に進み、年間110%程度と業界平均を上回る成長を続けている。
月次損益はなんとかプラスの水準を維持してきており、さらなる成長を目指して営業やサポートのメンバーを採用募集し、数名の人員の獲得に至る。
入社したメンバーを育成すべく、新人研修や現場でのOJTを行う。
入社したメンバーのうち数名は、入社1年~2年のうちに「思っていたのと違いました。」と言って退職していった。
それでも1/3くらいのメンバーは戦力として活躍し、またさらなる成長を目指して人材の採用募集を行う。
数年経つと、この期間で入社したメンバーは会社の戦力の核となり、成長の原動力となり会社を支えている。
それとともにこの期間での採用募集に試行錯誤しながら取り組んだことで、採用ノウハウが蓄積され、いつしか募集すればかなりの人数の応募を集めることができるようになっている。
年間を通じて人材採用活動を行っており、常に新たな人材が加わってくるようになっている。
成長が止まる企業
利用者獲得が順調に進み、年間110%程度と業界平均を上回る成長を続けている。
月次損益はなんとかプラスの水準を維持してきているが、人員増はすなわち月次赤字へと突入するため、人員の増強に踏み切れずにいる。
それでも業務負荷の増大から、実質的に仕事が回らなくなり、ようやく人材の募集に踏み切ることとなった。
採用募集をかけてもなかなか応募が来ない状況であったが、なんとか1名の採用にこぎつけることができた。
採用した人材を戦力化するべく育成を続けた結果、順調にスキル・知識をつけ経験を積み、会社の戦力の核となるくらいまで成長していった。
3年ほどが経ったある時「もっと自分の力を試せる環境を見つけたい」と言って、その人材は会社を去っていくこととなった。
あわてて人材の補充をするべく採用募集をかけようとするも、人材採用はまたイチからやり直し、採用するノウハウもなく募集をかけてもなかなか応募はこない。
気づけばこの数年で事業は停滞しており、当初は110%程度あった成長率も数%、業界平均にも届かない水準にまで低下。
完全に成長は停滞してしまう結果となってしまった。
いかがでしょうか。
スタート地点は同じであっても、その後の人材採用という行動をどうするかによって持続的に成長を続ける企業と、成長が止まってしまう企業と、それぞれのイメージをお読みいただきました。
これは私の空想的な2つの企業の姿ではありますが、けっこう「あるある」なのではないでしょうか。
ポイント2:1人を大事に育てるか?たくさん採用して残る人材を育てるか?
人材の採用と育成には2つの考え方があると思います。
1つは採用した少数の人材を大切に育てて戦力化させるという考え方
自社の体力でカバーできる範囲で採用を行い、しっかりと育てていくというもので、多くの会社はこちらの考え方ではないかと思います。
もう1つは、ある程度の離職も見越して、多めに人数を採用し残った人材を育てていく考え方。
もちろん後者も大切に育成をしていくのは変わりありません。
どちらが正しいというものではありませんが、人材が残り、育ち、会社を成長させていくのは後者の方が可能性は高いように思います。
ある社長がこのようにおっしゃっていました。
・そもそも自分たちのような中小企業に優秀な人材が来る可能性は極めて低い。
・優秀な人材は望めないが、優秀になる可能性のある人材を採用して育てていくしかない。
・優秀になる可能性のある人材は、いくら努力しても、選考の時点で見抜くのは難しい。
・それであれば、1名必要なところに3名採用して、2人退職して1人残って、残った1人を育てていくことだ。
退職する人のために採用コストをかけて、育成のパワーもかけて、とても無駄なようにも思えます。
とはいえ、結果的に将来そちらの方が会社が成長していく可能性が高いのであれば、そうしたコストや労力も必要な投資と割り切って考えることも必要なのかもしれません。
ポイント3:成長格差時代を勝ち抜くために
人材採用力が成長格差を生む時代が来ると書きましたが、現実にそれに近い事象は業界の中で起こってきています。
そんな成長格差時代を勝ち抜くために次のような力をつけていく必要があると私は思います。
①採用募集力
一つ目は採用募集力です。
人材を採用したいとなったときに、応募を集める力です。
先述したある社長さんの言葉のように「いくら努力しても、先行の時点で見抜くのは難しい」とはいっても、ごく少数の中から選ぶのと、多くの応募者の中から選ぶのでは、ポテンシャルをもった人材に当たる確率は違います。
採用募集力を高めるには、次のようなことがポイントになります。
・時代に合った募集条件
・採用募集のライティング力
・採用募集媒体の選定
・SNSを通じた自社の情報発信
・採用特化Webサイト
これらはある日突然その力が目覚めるものではありません。
経営者が常に採用を意識して会社づくりをし、試行錯誤しながら人材採用に取り組んでいくことで磨かれていくのだと思います。
②粗利を稼ぐ力
先ほど、ある程度の離職も見越して多めに採用する方が結果的に成長する可能性が高いと書きました。
ただそれには採用した人員、すなわち固定費をカバーできるだけの利益を上げる力をつける必要があります。
日々の事業運営の中で、いかに粗利を稼ぐ力を高めていけるか、それがポイントになります。
・レンタル卸さんと仕入金額の交渉はできているか
・自社レンタルの場合、自社比率が高まる状態になっているか
・住宅改修の粗利は取れているか
粗利を稼ぐ力のある会社は、利益面でも余裕のある運営ができるだけでなく、将来に向けての投資にお金を使うことができます。
あらためて自社の粗利について見直しをしてみる機会としていただければと思います。
③社長が割り切って考える力
退職者が出るとそれまでに投じたコストや労力、時間がとても無駄になったように思います。
また現実的な部分だけではなく、それまでの期間一緒に仕事をした仲間が去っていくのは心情的にも辛いものがあると思います。
ただ、世の中を見渡して、退職者が出ない会社はどこにもありません。
うまくいっているように見えるあの会社も、年間に何%かは退職していっているのが現実です。
まして、転職するということが以前よりもぐっとカジュアルになってきている今の時代。
成長させるための投資と割り切って、必要人員の2~3倍くらいの採用を行っていくくらいがちょうどいいのかもしれません。
それには社長が割り切って考えることもある種の「力」なのではないでしょうか。
今回のコラムでは、「福祉用具レンタル業 人材採用力が成長格差を生む時代が来る!?」と題してお送りしてまいりました。
本当に、人が採用できなければ、成長が止まってしまう時代がすぐそこまで来ています。
これからますます採用難は加速していき、人材採用力によって成長に格差ができる世の中となっていきます。
みなさまの会社の人材採用力、いま一度見直しをしてみられてはいかがでしょうか。
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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司
【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。
⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp