福祉用具レンタル業 ウチの業界にマニュアル化って必要なの!?

「そのマニュアルいいですね。ウチもそれ作りたいです!」

この1~2年で自社の業務、営業の手法をマニュアルにしたいというお声をいただく機会が本当に多くなってきました。
それも、利用者数で数千人規模の比較的中堅の福祉用具レンタル会社さんで特によくお話しをお聞きします。

ひと昔前は、マニュアルというと、四角四面の対応とか、融通がきかないとか、あまりポジティブなイメージで捉えられなかったことかなと私は思います。
それが、なぜいまマニュアル化が注目されているのか、マニュアル作成することに価値を感じ始めているのか。

みなさまと一緒に考えていきたいと思います。

ポイント1:人材育成にマニュアルが有効なワケ

例えば大手ハンバーガーチェーン 〇クド〇ルドとか、アルバイトさんを数多く使って画一化されたサービスを提供する、
チェーンオペレーションを極めていくような業種・業態にはマニュアルは必須のように思います。

一方で、福祉用具レンタル業は、BtoBtoCのビジネス構造で、ある程度臨機応変な対応が求められるような業務スタイルの世界だと思います。
そんな業界で、なぜいまマニュアル化していくことに経営者の問題意識が向いているのでしょうか。
どうやらそこには、オペレーションの画一化というよりも、むしろ人材育成という側面がより強いような気がします。

人材育成のここ数年のトレンドを見てみることにしましょう。

みなさまもよくご存知のように、
ゆとり世代・・・2002年~2011年の間に義務教育を受けた世代 現在20代~30代前半の年齢層
Z世代・・・1990年代後半から2010年生まれの世代 現在10代後半~20代前半の年齢層

いま採用の中心となっているのが、ゆとり世代と言われるゾーン、それに加えて新卒採用や第2新卒ではZ世代のゾーンが入ってくるようになってきています。

ゆとり世代の特徴と言われることをピックアップしてみると、、、

①仕事とプライベートの両方を重視

 ⇒はいはい。わかるわかる~

②繊細な心を持っている

 ⇒そうなのよ。きょうびガツンってなかなか言えないよね~

③転職することに抵抗がない

 ⇒困った!ある日突然「ちょっとお話しが。。。」って恐怖でしかないわ!

④自主性がない人が多い

 ⇒もっとグイグイきてほしいんだけどなぁ~

⑤効率主義的な部分がある

 ⇒なんでも「タイパ」って、仕事はそんなもんじゃないんやぞ!

あ、”⇒”の部分はみなさんの心の声を代弁したつもりなんですが、どうでしょうか。。。

①~⑤のいずれも、みなさんが若手社員の育成の場面で「なんか今までと違うぞ・・・」と感じるところではないでしょうか。
一昔前なら、あまり休日とか夜間とか気にすることなく、時に強い言葉で指導しても、向こうから「教えてください!」とかグイグイ質問がきたり、現場に同行してやっていることを見せることが教育として成り立っていた。
そんな感じでしょうか。

そんな風に人生観とか仕事観が、一昔前とは明らかに変わってきているということを事実として受け止めないといけないということだと思います。

もう一つの側面として、会社サイドも育成に対して求めるスピード感が変わってきているように思います。

以前なら入社して一人前になるのに3年くらいかかるのが業界としての当たり前だったかもしれません。
それが、いまや入社して1年とか、早いところは半年で一人前、3ヶ月くらいで現場に出すという会社もあると思います。

すし職人で例えると、
1年目は皿洗いや出前からはじめて、3年くらいでようやく飯炊きができるようになり、5年で巻物、7年で寿司を握り、10年でようやく1人前という世界だったのが。
いまや3年くらいで寿司を握るようになったり、まして回転寿司チェーンとかになると採用されてすぐに厨房に立つというスピード感。
世の中の人材育成スピードは以前と比べると、びっくりするほど早くなっていますよね。

そんな時間の流れのなかで「オレのやるところを見て覚えろ!」って言っていては、育成できるのに何年かかるかわからない。
求められる育成スピードに合わせて、育成のやり方も変わっていかないといけない。
そんな時代になっているのだと思います。

ゆとり世代やZ世代といった人材サイドの観点、早期に一人前にするという企業サイドの観点
そんな観点から現在の人材育成トレンドを見てきました。

そう考えると、マニュアルを上手に使って人材育成を進めるというのに妥当性があるように思えますね。

ポイント2:マニュアル作成していくことの本質的な意味とは

どうやらいまの時代、人材育成にマニュアルを活用していくというのは間違いなく外せない要素になっていきそうです。

そこで次はマニュアルを作成していくことの本質的な意味について考えていきたいと思います。

私が考える、マニュアル作成の意味とは、

「言語化すること」

だと思います。

言語化するということは本当に重要なスキルです。

Aさんはただ何となく仕事をしていて、自分の仕事を振り返ることもなく日々過ごしているとします。
一方でBさんも同じ仕事をしていて、自分の行動や考えを振り返り、メモや日報で言葉として残しているとします。

日報などのように人に伝えるような媒体であるほど、その背景にある事象、自分の考えをわかりやすく言葉にする必要があります。
また自分自身で後々振り返っても、その時どんなことを考えてその行動をとったのか、未来の自分がわかるように言葉に残す必要があると思います。

今年、世界中を沸かせたWBC日本代表。

そのなかでダルビッシュ有は若手選手にいろんな質問を投げかけていったそうです。

「なぜ、その練習をやっているの?」

「どういう意図があるの?」

そんな質問を投げかけられた日本代表の若手メンバーは、ダルさんに半端な答えを返すわけにいかないと、必死で考えて自分の考えを整理し説明しました。
自分がやっていることを言葉にしたことで、自分自身の中で明確に整理されていったそうです。

言語化することで自身のなかで振り返りができ、定着していくというだけでなく、他者にも伝えることができるようになります。
世の中の多くのやり方・スキルは頭の中にあってカタチになっていない「暗黙知」の状態です。
「暗黙知」の状態は人に伝えることが難しく、また読み取ることも至難の業です。

「背中を見て覚えろ!」

といったって、まったく身につかないですよね。

マニュアル化していくとは、自身のなかにあるものを言語化するものであり、また人に伝えていくために形式知化するものであります。

ポイント3:結論!福祉用具レンタル業にマニュアルは必要か?

ここまできたら、もうお分かりだと思います。

福祉用具レンタル業にマニュアルは必要です!

実際に業務のマニュアル化を進めていらっしゃる会社がどのように作成を進めているかを少しご紹介したいと思います。

①キャリアプランを作成し、階層別に必要なスキルを明確に整理する

・・・新人・一般・主任・課長・部長、と入社してから成長していくキャリアの道筋と、そのために身に着けるべきスキル・知識を俯瞰して定義します

②必要なスキルに応じて習得すべき項目を洗い出す

・・・スキルを形成していく上で、覚えること、知っておくべきこと、身に着けること、を一覧でリストアップしていきます

③それぞれの項目で教育するにあたって必要なツールを決める

・・・マニュアル、動画コンテンツ、チェックシート、など作成すべきアイテムを決めていきます

④あとはツールの作りこみをひたすら進める。社内の叡智を結集しよう!

・・・ベテラン社員、リーダー社員の腕の見せどころです。これまでのスキル・経験を絞り出して言語化をどんどん進めていきます

⑤マニュアル、チェックシートなど作成したツールを活用して、実際に育成運用する

・・・どの順番で何を教えるか、育成スケジュールに沿って完成したツールをフル活用して教育を進めていきます

一緒にやらせていただいている会社では、キャリアプランの組み立て、必要スキルの洗い出し、作成するツールの全体像の検討、実際のマニュアルの共同作成などをお手伝いしながら進めています。
ある程度の水準を超えてくると、結局のところ”人”が成長を決める重要要素になってくると思います。

外部の研修を活用するというのも良いですが、福祉用具業界の突っ込んだ内容の外部研修というのはなかなか存在しないのではないかと思います。
一方で業界ならではのこととなると、現場で実地のOJTを進めるというのがオーソドックスな教育方法かと思いますが、
教える人によってクオリティに差が出たり、はたまた「見て覚えろ!」式の域を出ないものになってしまったり。。。

いまよりさらに成長させる未来を描くのであれば、体系的なマニュアル化に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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