福祉用具レンタル業 業績を上げる営業ミーティングの成功事例

今期がスタートしていきなり初月で利用者数が+80件になりました!

福祉用具レンタル業のある社長さんと打合せをしていると、そんな近況をお聞かせいただきました。
もともと利用者数が3,000名くらいの会社さんで、たった1か月で2.6%も伸びたことになります。

期のスタートで、どうしてそんなロケットスタートができたのか?

お話を詳しくお聞きしてみると、どうやら営業ミーティングのあり方を変えたことに秘密がありそうです。

今回のコラムでは、業績を上げる営業ミーティングの成功事例として、実際にどんなことをやられているのかをご紹介したいと思います。

ポイント1:業績好調!でもさらに伸びる会社の体質づくり

おかげさまで、前期の業績は「まあまあ」の結果でした。

冒頭にご紹介した社長が前期を振り返っておっしゃいました。

年間での利用者数の伸び率は106.5%、だいたい3,000名程度の利用者数なので、2,800名強から3,000名へとおおよそ200名くらいの純増という結果です。
利用者数3,000名ということは、解約もそれなりにかなりの数が発生しています。
通常は解約率を3%で計算するのですが、地方で高齢化率が高く人口減少も進んでいるため、5%くらいで見ているそうです。

社長の読み通りに解約率を5%で想定すると月あたり150件くらいの解約が発生することになります。
年間106.5%の成長とすると、月あたりの必要獲得数は160件以上ということになります。

実際に、新規獲得の年間数値を見てみると、、、

なるほど、しっかりそのラインをクリアして、より高い水準で獲得を重ねています。

厚生労働省から発表されているデータ(介護保険事業状況報告)で、福祉用具利用者数が公表されています。
毎年の伸び率を定期的に追っているのですが、全国で見るとおおよそ伸び率としては105%弱程度。
そこからすると全国平均を超えて伸びているので「まあまあ」という表現をされているのでしょう。

ただ、気を付けないといけないのは全国平均と、それぞれの地域での状況は異なっているということです。
地方になればなるほど伸び率は低くなり、年間で伸び率が100%を割っている都道府県もあります。
伸び率が100%を割っているということは、都道府県単位で福祉用具利用者数が減少しているということ。

マーケットが縮小傾向にあるなかでそれでも業績を伸ばすということは、本当にキツイことだと思います。


イメージしていただくと、下りのエスカレータに乗って一生懸命に上へ上へと登っていく感じでしょうか。
少しでも気を抜くとどんどん下へと下がってしまうなかで、重力に逆らいながら足を出し続けるのはものすごくハードなことだと感じていただけるでしょう。

それでもこの社長は前期が締まり、新しい期がはじまるにあたってさらに高い目標水準を打ち出しました。
さらに高い目線で自分たちのポジションを上げていこう!というメッセージです。

最近つくづく思うことは、会社の空気というのはとても大切だと感じます。

例えば同じようなスキル、マインドをもったスタッフが2人いたとします。
1人はA社に、もう1人はB社にそれぞれ同じ時期に入社しました。

A社高い目標を掲げ、その目標を達成し続けている
社員は規律とスピード感あふれる行動をし、やりきることが当たり前となっている
B社ぬるい空気が社内にまん延している
目標はあるものの誰も本当にクリアできると思っていない
仕事ぶりも「なあなあ」で、がんばるとか暑苦しいことは敬遠される

1年後の2人の成長の差は火を見るよりも明らかだと思います。

オブラートに包んだ例え話として書きましたが、実際にA社のような環境で入社したメンバーが驚くほどの成果を短期間で重ねるようになっているケースはたくさんあります。
もちろん、B社のようなぬるい会社はそれ以上に腐るほどありますが。

地方の縮小マーケットでも、業界水準を超える106.5%という成長を叩き出しながら、業績を「まあまあ」と表現し、さらに高い目標水準を掲げる会社。

伸びる会社の「体質」とはこういうところにあるんだろうと思います。

ポイント2:営業に示したシンプルな指針とは!?

さて、期のスタートにさらに高い目標水準を示した社長ですが、営業メンバーに対しては非常にシンプルな指針を打ち出しました。

その指針とは、

月間100回以上ケアマネに面談しよう!

このコラムでも何度もお伝えしていますが、新規獲得数のビジネス公式は、

新規獲得数=ケアマネ訪問数×相談発生率×成約率

です。

この社長は年単位で営業のケアマネ面談数と新規獲得数のデータを集め、このビジネス公式が本当に正しいのかどうかを実数をもって検証したそうです。
データを集めてみると、ケアマネ面談数と新規獲得数には明確に相関関係があることがわかりました。

しっかり面談を重ねている⇒新規獲得数が増える
面談が停滞する⇒新規獲得数が伸び悩む

シンプルにこの傾向が見えたのであれば、それに沿って行動するだけです。

営業がやることはとてもシンプルで、

月間100回以上ケアマネに面談しよう!

です。

日本企業で圧倒的な営業利益率を誇り、圧倒的な業績好調企業として有名なキーエンスという会社。

キーエンスの業績好調のからくりもエッセンスを抜き出すと非常にシンプルです。
見込み客リストに対して一定の水準以上のTELアプローチをして、アポが取れた見込み客に対して営業訪問をすること

TELアプローチの絶対数と、営業訪問の絶対数が高い水準で確保されているからこそ、高いレベルで業績を上げ続けているのです。

営業メンバーがやることはシンプルです。

あとは徹底的にやるだけ。

徹底的にやるという「体質」をつくることができれば、業績は上がっていくのでしょう。

ポイント3:毎週の所長ミーティングの進め方がカギ

徹底的にやることを担保するのが営業ミーティングです。

社長曰く、今期から会議体も少し変更したそうです。
これまでの所長ミーティングは、社長(役員)から所長陣へ決定事項を落とすのが主であったところ、
新しい会議体系では、これまで通り決定事項を落とす所長ミーティングに加えて、営業施策のPDCAを共有するミーティングを毎週実施するようにしているそうです。

営業の大きな指針は、

月間100回以上ケアマネに面談しよう!

ですが、100回以上面談するためのネタは月によって仕掛けを変えていきます。

その仕掛けを使っての実行状況と行動の改善策を共有&協議するミーティングを毎週実施するようにしています。

進め方としては、

1)所定の会議フォーマットに事前に前週までの成果(新規獲得数、売上)を記載する(各所長)

 ↓

2)目標の進捗基準に対して遅れている営業所はリカバリーの対策も合わせて記載する(各所長)

 ↓

3)所長ミーティングの前に社長は会議フォーマットをチェックして気になるところを赤字でマーキング(社長)

 ↓

4)ミーティングでは各営業所で進捗とリカバリー対策、施策の成功事例を共有し翌週までの実行策を決める(参加者全員)

 ↓

5)所長ミーティングで決まったことを営業所ごとにメンバーに落として実行する(所長・営業メンバー)

このように進めているそうです。

毎週の行動とリカバリー対策が明確になり、もともとやり切る空気はあったところに、さらに高いレベルで実行が担保されるという流れができてきているようです。

所長ミーティングの進行も現在は社内のNo.2が回していますが、そのうち所長ミーティングが固まってきたらエリア長へ、さらに固まったら各所長の持ち回りとしていくそうです。
この所長ミーティングの実行・運営こそが業績を短期スパンかつ高速PDCAでチェックし、また管理職としてのスキルを上げていくことにつながっていきます。

9月が今期のスタートだったのですが、新規獲得数はそれまでの獲得アベレージに対して140%の伸びを示しています。
それだけの獲得数の伸びがあったからこそ、いきなり初月から+80件の純増というオドロキの結果を生み出したのでしょう。

ここまでお伝えしてきたポイントは、次の3つでした。

◆伸びる会社のやり切る「体質」
◆営業に対して示すシンプルな指針
◆徹底的にやることを担保する営業ミーティング

業績を上げ続ける会社の成功事例とそのポイント。

学ぶべき点はたくさんあるのではないでしょうか。

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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