福祉用具レンタル業 伸びる!儲かる!貸与事業所の共通点はコレだ!

世の中の福祉用具レンタル会社のうち、

伸びる会社はびっくりするほど伸びているし、

儲かっている会社は面白いほど儲かっています。

(いろんな事情があって表面上は儲かっていないように見える会社もありますが・・・)

伸びる会社、儲かる会社の共通点は何か?

今回のコラムではそんなことをみなさまと一緒に考えてみたいと思います。

ポイント1:業績を伸ばすために突くポイントがわかっている

まず大前提として、伸びている会社、儲かっている会社の経営者はみな一様に次のようなことをおっしゃいます。

福祉用具レンタルの経営はやりようによってはめちゃくちゃカンタン

なぜそのように考えるのか、いくつかの要因を挙げてみると・・・

◆ケアマネから依頼をもらえればほぼ決まる。受注のハードルが極端に低い
◆自社レンタルだと粗利70%、卸レンタルでも50%と粗利率が高い
◆売掛の90%は介護保険から入ってくる。未収率がめちゃくちゃ低い
◆ストックビジネスなので一度積み上げた売上はそうそう落ちることはない

そして何より、、、

◆全体的に経営が上手でない会社が多いので、勝つのがめちゃくちゃイージー

いかがでしょうか。

かなり共感できるという方は伸びる×儲かるゾーンに近いといえるかもしれません。
あとは、経営が上手になって「勝つのがイージー」と言える側に行ければバッチリですね。

そんなことを前提にしていただいて、まずはどうやって業績を伸ばすのかという点を見てみたいと思います。


業績を伸ばす会社は「業績を伸ばすために突くポイントがわかっている」ということがあります。

経営のステージによって力を入れるポイント、突くポイントが少しずつ変わってきます。

利用者数が500名前後、年商1億円未満の会社さんの場合は、とにかく利用者獲得力をつけることでしょう。

・社員の意識を「営業」に向けさせる
・ケアマネとの接触頻度を徹底的に高める
・エリア内での競合他社との差別化を磨く

利用者数が1,000名を超え、年商2億円前後になってくると営業メンバーの量×質を高めることに力を入れることだと思います。

・人材募集力をつけ、選考のステップを決め、厳選採用する
・自社の人材育成のパターンを固める
・若手メンバーで早期活躍する「モデル人材」をつくる

利用者数が3,000名に到達し、年商5億円クラスになってくるとバックオフィス力を高めていくことにポイントが移っていきます。

・営業のバック業務をできるだけ軽くする
・バックオフィス業務は自動化・標準化していく
・会社全体としての生産性を高める体制をつくる

業績を伸ばす会社さんはこうしたステージごとにやるべきことを的確に捉えていて、そのポイントにかなり集中して力を入れていると思います。
一方で、あまり業績を伸ばすのが上手でない会社さんは、目の前の課題に振り回されて「あれもこれも」やろうとします。

例えば、まだまだ利用者数が1,000名に至らない段階でも、会社の課題としてはいろいろなことが出てくると思います。

「解約に負けてなかなか利用者数が伸びない・・・」
「ここ数年入社した若手社員がうまく育っていなくて営業成果が上がらない・・・」
「現場はやたらと忙しいと言っている。なんとか効率化できないものか・・・」

これらの課題は会社のステージを問わず、どんな会社でも噴出してくる悩みだと思います。

そんなとき、目の前の課題に振り回されるというのは、それらの課題をまるで「モグラたたき」のようにピョコピョコ出てくるたびにつぶしていこうとすることです。
残念ですが、そうした「モグラたたき」をやっていても一向に事態は改善せず、業績は上がっていきません。

会社のステージに合わせて、そのときに必要なことに集中して取り組むことが、業績を上げる上では大切なポイントなのです。
業績を伸ばす会社さんは不思議と「そのときに必要なこと」を的確に捉えていて、その段階でやるべきことを集中して思い切りやっている傾向が強いと思っています。

業績を伸ばす会社さんは「業績を伸ばすために突くポイントがわかっている!」

ポイント2:会社の数字と利益を上げるポイントが頭に入っている

儲かる会社さんは「数字に強い」ということも挙げられるでしょう。

当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、儲かる会社さんは数字に強く、会社の数字が頭に入っていてちゃんと儲かるように手を打っていきます。

会社の数字ということで、次のようなポイントをどれくらい把握されているでしょうか。

□前月の利用者数(介護保険)は何名か?
□毎月の売上高を把握しているか?
□毎月のレンタル売上を把握しているか?
□自社の粗利率は何%か?
□自社の損益分岐点売上高を把握しているか?
□毎月の人件費はいくらか?
□賞与月の人件費はいくらになるか?
□毎月の販管費はいくらか?
□自社の営業利益率は何%か?
□利益改善をするためにどこの数値を上げ(下げ)ればいいか?

10個ほどポイントを挙げさせていただきましたが、みなさまの把握度合いはどのくらいだったでしょうか。
5個以上把握しているという方はけっこうしっかり把握されていると思います。堅く利益を出しておられるのではないでしょうか。
3~5個という方、毎日・毎週・毎月、会社の数字を見るクセをつけましょう。
3個未満という方は会社を数字で捉えることをかなり強く意識された方が良いと思います。

会社の数字が頭に入っているほど、どの部分を改善すればよいか、どこを触れば会社がもっと良くなるかが見えてきます。
利益を上げるためのポイントがわかり、そのためのアクションが浮かび上がってくる状態になるでしょう。

「数字なんてしょせん数字じゃねえか!会社は現場で動いてるんだよ!」

という方がいるかどうかわかりませんが、数字は会社の状態を表すバロメーターと言えると思います。

みなさまは人間ドックや健康診断を受けて、数字での判定値を見て健康度合いを測ると思います。

あ、γーGTPの数値が高いな・・・ちょっとお酒を抑えるか。
うわ、BMIの数値が「肥満」ゾーンになってる・・・食事を制限しよう。

そんな風に身体の状態を数値で把握するからこそ、自分自身の健康状態がわかり、改善するための手を打つというものです。

余談ですが、ダイエットに成功する誰でもできる最もカンタンな方法があるのですが、なんだかわかりますか?

答えは・・・

毎日体重計に乗ること

です。

毎日体重計に乗るからこそ、自分自身の体重が頭に入り、改善(ダイエット)するためのあれやこれやが実行されるというものです。
「痩せなきゃ!」といっていても一向に痩せないという人は騙されたと思って毎日体重計に乗ってみてください。

会社の経営も似たようなもので、会社の状態をふわっと捉えるのではなく、より正確に把握するのが数字というものだと思います。

その数字の把握の頻度が上がれば上がるほど、毎日のように数字を見るからこそ会社の状態が常に頭の中にあり、
頭の中に会社の状態が入っているからこそ、常に会社を良くするためのあれやこれやを考えるということになります。

みなさんは会社の利益を改善するための施策を問われたら、即座に答えることができますか?

ポイント3:大局でモノを見る目線がありこだわるところは徹底的にこだわる

業績を伸ばし利益を上げるには、大局でモノを見る目線ということもポイントになると思います。

大局で見るというのは、

さして重要でない部分と、特に重視する部分を見極める

ということかなと思います。

例えば、
ある見積を取り寄せ、検討しているとします。
A社の方が3,000円ほど安くてコスト面ではメリットがあるのですが、はじめての取引で担当者の対応も少し不安を感じる
B社はコストは従来通りですが、これまでの取引実績があり無難にそつなく対応してくれる

コスト面を取るか、安定の対応力を取るか、頭を悩ませています。
みなさんならA社か、B社か、どちらを採用しますでしょうか?

みなさまいかがでしょうか。


答えは、

どっちでもいい

むしろ、3000円のことで頭を悩ませている時間がもったいないと思います。

こうして文字で書くと「そりゃそうだ。」となると思いますが、似たようなことって世の中にあふれています。

大した差にならないような些末なことにこだわり、延々と時間を費やしてしまい、本当に考えないといけないことが埋もれてしまう。


心当たりありませんか?

一方で、先日こんなことがありました。

ある社長さん(その会社は業績も伸ばしていて利益もしっかり上げている会社さんです)と話していて、上限価格の改定の話になりました。

どんな対応をしたかと聞くと、

社長:「卸さんから借りているものは上限金額に近いギリギリのところにして、自社レンタル品を思い切って下げました。」
入江:「ほう、その狙いはどんな意図があるんですか?」(自社品の利益率が下がってしまうんじゃないか・・・)

社長さんいわく、意図してそうした金額設定にすることで現場の営業は「安いのが良い」と言われたら自然と自社レンタル品を選ぶことになるでしょう。
自社比率を上げていくと、そもそも卸レンタルと自社レンタルでは粗利のレンジがぜんぜん違うので、結果的に全体的な粗利率は上がることになると。

目の前の一つ一つの商品の粗利率にこだわるのではなく、全体として粗利率が高まるように考えているというお話でした。
1本1本の木ではなく、森全体を見る視点。


まさに大局を見る視点だと思います。

こうしたモノの見方ができるようになると、業績を伸ばす、利益を上げるために大切なことは何か、一方で力を抜いてそこそこで流していいことは何か、判断がつくようになると思います。
そうすると徹底的に力を入れることがクッキリしてきて、会社としてもやることのベクトルもピタッと合ってくることでしょう。

自社の経営というものを大局で見ることができていますか?

今回のコラムでは「福祉用具レンタル業 伸びる!儲かる!貸与事業所の共通点はコレだ!」と題してお送りしてきました。

経営ステージごとに力を入れる、業績を伸ばすために突くポイントがわかっている
会社の数字が頭にはいっていて、利益を上げるために何をすべきかがわかっている
大局で見る視点があり、流す部分と徹底してこだわる部分が明確である

そんな会社さんが業績を伸ばし、儲かる会社になっていくのだと思います。

みなさん、儲かってまっか!?

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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