福祉用具レンタル業 ケアマネにウケる営業の「スピード」って!?

ウチはスピードが売りなんですよ!

・・・たいへん申し上げにくいのですが、イヤというほど、飽きるほど聞いてきました。

おそらく全国の福祉用具レンタル会社の、福祉用具営業の9割以上が「ウチはスピードが売り」と言っているのではないかと思います。

それくらいこすりまくっている感のある「スピード」ですが、本当に求められるスピードとはなんなのか?
ケアマネにウケるスピードとはどういうことなのか?

今回のコラムではあらためてスピードということについて考えてみたいと思います。

ポイント1:言われて対応するスピードに価値はある!?

ウチは本当に対応スピードが早いんです!

多くの福祉用具レンタル会社でお聞きする言葉です。

今日、急に退院することになったからベッド入れれる?と言われてその日中に納品したんです!

こちらもいろんな福祉用具レンタル会社でスピードのエピソードとしてお聞きするお話です。

おそらくこのコラムをお読みのみなさんも似たような要望を受けて、同じように無理目なところを何とかして納品した経験は少なからずあるのではないでしょうか。

確かにそうしたケースではケアマネも利用者も「とても助かった!」と喜んでくださることでしょう。

ただ、よくよく考えてみると、

言われたことに何とか対応した

ということであり、近隣の同業他社に話がいっていれば、おそらくその会社も同じように対応したことでしょう。

みな同じように「スピードが売り」であり「何とかする」ことで自社の価値を高めようとしているのですから。

多くの会社が考えている「スピードが売り」というのはケアマネから言われてヨーイドンでのスピードにすぎない。
「これをやって!」と言われてやることに、多少の早さの違いはあれど、大同小異、たいしてあまり変わりはないと私は思います。

逆の立場から考えてみましょう。

ケアマネに「どんな福祉用具レンタル会社を評価しますか?」とお聞きすると、

早く動いてくれるところ

という答えが返ってくることが多いです。

ケアマネが求める「早く動いてくれる」とはどういうことを指すのでしょうか?

この件は急いでいるから早く動いてね。

そう言われれば、ほとんどの方が急いで最速で対応することでしょう。
ここでしばらく寝かせてみたり、のんびり他の件と同じように対応するくらいであれば、よっぽどズレていると言わざるを得ません。

いつでもいいのでお願いします。

・・・けっこう危険な言葉です。

字面通りに受け取ると「いつでもいい」ので、こちらの手が空いたときの対応になってしまいそうです。
そうして油断していると、

あれってどうなりました?

と催促・確認の連絡が来てしまったりします。

ビジネスの世界で「あれってどうなりました?」と言われるときは、完全に負け、自身のスピード感やテンポが合っていないと考えた方がいいと思います。

いつでもいいのでお願いします。という言葉の裏には、

そこまで急ぎじゃないけど、ふつうに考えたらすぐにやってくれるよね。だって「スピードが売り」なんでしょ。

という気持ちが隠れていると思って対応した方がいいと思います。

「スピードが売り」というからには、言われたことに対応するスピードが早いのは当たり前と考える。
言われていないけどいかに先手で動くか、あるいは言葉の裏を読み取ってスグに対応することができるか。

相手の予想を超えてくるスピード感に本当の価値があるのではないか。
実際にそうした動きができている営業スタッフさんに仕事が集まり、売れっ子になっていくのではないか。

そんな風に私は思います。

ポイント2:先手で動くためのケーススタディ

ケアマネをはじめとして、相手が言っていないところでササッと対応ができる。
相手が予想している以上のスピードで動くことができる。
そんな営業がケアマネに「ウケる」、すなわち売れっ子になっていくと書きました。

いかにして先手で動くことができるか?

どうやらそこにポイントがあるように思います。

では、先手で動くために2つほどケーススタディをあげてみたいと思います。

ケーススタディ その1

あなたは船井総合研究所の新人コンサルタントです。一緒に仕事をしている先輩がこんな風に言っています。
「こんど株式会社〇〇の■■社長が大阪に来るらしくて、会いましょうかっていってるんだよね~」

さて、あなたならどう返しますか?

このケースの模範解答としては、次のような感じでしょうか。
「そうなんですね。■■社長はできれば私もお会いしたいです。ご一緒しても良いでしょうか。どこかお食事の場所を探して予約しておきましょうか。」

ケーススタディ その2

ある居宅に訪問したら、ケアマネと会えました。そのケアマネがこんなことをつぶやいていました。
「山田さんのところの娘さん、連絡がついたりつかなかったりなのよね~」

さて、どんな風に動きますか?

このケースの模範解答としては、次のような感じでしょうか。
「なるほど、こんど山田さんの娘さんにお会いしたらその場でお電話しましょうか。もしかしたらご連絡ついてるかもしれないですけど。」

いかがでしょうか。

2つのケースともだいたい模範解答通りに考えることができた。もしかして自分ってデキる営業なんじゃね!?

と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。

そのように考えることができたのはすばらしいと思います。
ただ、実はこうして文字になっていると冷静かつ客観的に状況を理解することができることに注意が必要です。

現実の場面であれば、どうなるかというと、
ケース その1の場合は、
「あ、そうなんですね~」
で終わってしまうことがほとんどでしょう。

ケース その2の場合はというと、
「そうですか、たいへんですね~」
とこれまたそれで終わってしまいます。

実際には相手の言葉の裏を読み取って「それやってくれたら助かる~」というように動けるのはけっこうレアなのです。

また、いずれのケースでも相手がそのように言っていたとして、

「あ、そうなんですね~(知らんがな・・・)」

という心理が働き、めんどくさいということもあり、それ以上の言葉が出てこないというのもあるあるだと思います。

そのように考えると、本当にスピードが早いと言われる人は、相手の言葉の裏を読み取り、先手で相手の予想を超える動きができる人を言うのかもしれません。

みなさんは相手の言葉の裏を読み取っての動き、できていますか?

ポイント3:本当の「早いね」は気が回る×スピードに価値がある

ここまで「スピードが売り」ということの本当の価値、相手の言葉の裏を読み取って動くことについて見てきました。

本当の意味で「早いね」と言われるのは、

先手で対応して気が回ること × 相手の予想を上回るスピード

ということではないでしょうか。

ケアマネからすると「本当はこんな感じで動いてくれたら助かるんだけどな・・・」と思っていることを、ズバっとやってくれる。
しかも、思っている一手、二手くらい早いタイミングでやってくれる。
そんな動きをしてくれたら、きっとあなたのトリコになってしまうことでしょう。

ちなみに「本当はこんな感じで動いてくれたら助かるんだけどな・・・」というのはケアマネも自分自身で認識していないこともあります。
よく氷山の一角として例えられますが、自分自身で認識している「顕在ニーズ」は海面から出ている氷山でありほんの一部にすぎません。
一方で、自分自身も認識すらできていない「潜在ニーズ」は氷山で例えると海面の下にあり、はるかに大きな部分が水面下に潜んでいると言われます。

そう考えると、ケアマネ自身が認識していて、かつ直接言ってくれることなんて、ほんの一部の一部の小さな部分と考えた方がよさそうです。

それ以上にケアマネが認識しているが言ってくれないこと、あるいはケアマネ自身も認識していない「やってくれたら助かる」こと。
そうしたことに先手で気が付いて、しかもケアマネが思う以上のスピードで対応することが、本当の意味で「早いね」となり価値を生むことができるのではないかと思います。

今回のコラムでは、ケアマネにウケる営業の「スピード」って!?というテーマでお話をしてまいりました。

みなさんの「スピード」を振り返っていただいて、ケアマネにウケる対応になっているかどうか、見直すきっかけにしていただければと思います。

ケアマネの先をいく「スピード」を身につけていきましょう!

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
シニア経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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