企業ステージ別 急成長企業の戦略の裏側

みなさまこんにちは。
船井総合研究所の入江貴司です。いつも「福祉用具&リフォーム
業績アップブログ」をお読みいただきありがとうございます。

≪要点をまとめると…≫

【ポイント1】急成長企業の企業ステージから戦略を読み解く

【ポイント2】住宅改修の強化による収益構造の変化

【ポイント3】利用者メリットの追求×事業の成長が社会貢献につながる

≪以下 詳細内容≫
福祉用具レンタル業は2000年ごろに介護保険を活用した貸与制度が始まり
業界として産声を上げました。
その後、2000年代前半は市場が成長し多くの企業が参入する「成長期」を
迎え、業界全体としても年間3000億円規模にまでなっています。

その後、現在でも年率5%程度は成長してはいるものの、これまでと比較
して明らかに成長は鈍化、参入する企業は激減、むしろ業界から退出して
いく企業が目につくようになっています。
こうした減少は「成熟期」に典型的にみられるものであり、福祉用具業界
は「成長期」⇒「成熟期」にシフトしたとの認識を明確にもたなければ
なりません。

そんななか、大きく利用者数を伸ばし、急成長を遂げている企業があるのも
事実です。今回はそんな急成長企業のなかから企業ステージ別に2社を取り
上げ、その戦略の裏側をお伝えしたいと思います。

◆ポイント1:急成長企業の企業ステージから戦略を読み解く
福祉用具業界はレンタル利用者数によって、おおまかに次のように分けられ
ます。

利用者数 5000名~ 大手・広域企業
利用者数 1000~5000名 地域有力・中堅企業
利用者数 0~1000名 地場・中小企業

今回は、大手・広域企業、地場・中小企業のレンジからそれぞれ1社を
ご紹介したいと思います。

■利用者数 5000名~ 大手・広域企業 ⇒ メディカルケア株式会社様

■利用者数 0~1000名 地場・中小企業 ⇒ 株式会社フローラ様

まず、大手・広域クラス~地域有力・中堅クラスにかけての戦略上の重要
ポイントは、「包み込み」(一番手法の多拠点展開)になります。

また、地場・中小クラスの戦略上の重要ポイントは「一番化」になります。

地場中小クラスであるフローラ様は徹底的に一番化する企業ステージに
あります。「セット提案モデル」に取り組み利用者獲得の勝ちパターン
という武器を手に入れたことにより、どんどんシェアを上げていって
地域一番店のポジションを伺っている段階といえるでしょう。

一方、利用者数7,000名という規模のメディカルケア様は大手・広域クラス
に入るでしょう。ただ、10店舗ありますので1拠点あたりは1~2番店クラスに
あたります。
利用者獲得手法に決め手がないと解約数の方が大きくなる規模感であり、
やはり同社もそこで悩まれていました。今回旗艦店舗での取り組みによって
再びV字回復し、成長軌道に乗せることができたので、これを多拠点展開して
いく段階に入っていっています。

このように、メディカルケア様・フローラ様の2社の事例は、それぞれの企業
ステージでの戦略のあり方としてご参考いただけるのではないでしょうか。

いま旬の成長企業2社が成長の軌跡、戦略のポイントを語る!
福祉用具レンタル業 急成長企業サミット2020

◆ポイント2:住宅改修の強化による収益構造の変化
ご紹介している急成長企業にもみられる傾向ですが、「セット提案モデル」に
取り組み、住宅改修を強化していくことで収益構造が変化していきます。

(例)株式会社フローラ様の簡易損益状況

<Before>
売上高 596万円
粗利高 254万円
販・管費 299万円
営業利益 ▲45万円

売上高のうち住宅改修売上高 60万円(構成比10%)
粗利高のうち住宅改修粗利高 15万円(構成比6%)

<After>
売上高 901万円
粗利高 380万円
販・管費 342万円
営業利益 38万円

売上高のうち住宅改修売上高 255万円(構成比28%)
粗利高のうち住宅改修粗利高 122万円(構成比32%)

これは株式会社フローラ様の取り組み前と取り組み後の実際の月次損益数値
です。
住宅改修の売上構成比は10%⇒28%へ、粗利構成比は6%⇒32%へそれぞれ
上がっています。これは住宅改修の売上件数が増えたことに加えて、粗利率
が25%⇒48%へ上昇しているためです。

これには発注のやり方を粗利がしっかり取れるように変えたことが起因して
います。それまでは資材も施工もまとめて工務店さんに発注(丸投げ)して
いたものを、資材の発注と職人さんの施工を自社でコントロール(分離発注)
するようにしています。

住宅改修専任者を置くことで、住宅改修の受注ペースが上がります。
また、しっかりと粗利が取れる体制をつくることで、固定費が上がる分を
見込んでも、その分早期に黒字化することができるようになります。
レンタルというストック収益の累積ペースを上げることに加えて、住宅改修
というスポット収益で粗利を稼ぎ利益貢献させることができるのです。

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◆ポイント3:利用者メリットの追求×事業の成長が社会貢献につながる
「セット提案モデル」に取り組むとなぜ利用者獲得につながるのか?
それはこのモデルで提案するプランそのものが、利用者にとってメリットの
あるプランであるからに他なりません。
住宅改修×福祉用具のプラン提案そのものが、在宅生活をより安全なものにし、
より使いやすい住環境を整えることにつながります。

そうした利用者メリットが高いプラン提案を続けているということが、結果的に
ケアマネージャー様に受け入れられ、強く支持されるからこそ、利用者獲得成果
につながっているのだと思います。

全国のこのビジネスモデルに取り組む企業様のなかでも、やはり特筆すべき
成果を挙げている企業様はみな「利用者メリット」を追求した提案をしています。

今回特集させていただいたメディカルケア様やフローラ様のように、多くの
企業様がこのモデルで事業を成長させていくとどうなるか?
より高い「利用者メリット」を提供できる範囲が全国にどんどん広がっていく
ことにつながります。
このコラムをお読みのみなさまも、このモデルに取り組み、事業を成長させて
いくと、大きな社会貢献につなげていくことができると私は心から思っています。
ぜひ、メディカルケア様やフローラ様といっしょにそうした素晴らしい
プラン提案の輪を広げていきませんか。

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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