- 2023.10.06
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福祉用具レンタル業 制度改正に立ち向かう次の一手は何か?
杖・手すり・歩行器・スロープ、、、軽度者向けアイテムの保険レンタルは今後どうなるんだろう…?
前回のコラムでは、
として、厚生労働省の社会保障審議会、および福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会の議論を追っていきました。
よりマクロな視点で見ると介護保険を取り巻く環境はますます厳しいものになるのは疑いようもなく、それに備えた事業構造を作っていくことは避けて通れない道のように思います。
今回のコラムでは制度改正リスクに対してどんな一手を講じていくべきか、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。
ポイント1:ますます不確実となる制度ビジネスの行方は?
2024年度の介護保険制度改正は貸与と販売の選択制が焦点になってきています。
この動向が今後どうなっていくのか、気になるところではありますが、大きな視点で見ると介護保険制度での福祉用具レンタルがはじまってから、何らかの形でずっと事業環境が制約を受けている歴史が続いています。
まずは2006年の軽度者貸しはがしにはじまり、作成書類が次々に増え、上限価格制度によってレンタル価格が制約を受けるなど、あれやこれやで影響を受けています。
その時々では制度が変わるにあたって正当な理由があり、綿密な議論が重ねられてのことと思いますが、ビジネス環境が制約を受け続けているというのが事実としてあります。
この流れはいつか止まるかというと、そんなことはなく、3年に一度の改正のたびにこれからも様々な制度変更が行われ、私たちのビジネス環境はますます制約を受ける流れとなるでしょう。
介護保険制度を利用しての福祉用具レンタル事業は、安定して利益を上げることができるビジネスモデルではあるものの、今後の事業環境は時間の経過とともにより一層不確実なものとなっていくでしょう。
介護保険という制度を活用している以上、そうした環境のもとで目いっぱい売上・利益を上げることを考えていく一方で、
片方では介護保険制度にすべて乗っかることで、制度改正とともに事業そのものが沈んでしまうリスクを避けることを考えないといけませんね。
先日ある経営者と話していて、こんなことをおっしゃっていました。
「自分の年齢を考えると、あと10年~15年くらいは会社経営をやっていくことになる。
その間に介護保険でのレンタルがずっと盤石であり続けることは考えられない。
そう考えると、在宅の介護保険レンタルのほかにも事業の柱をつくっていくことを考えていきたいと思っている。」
今年、来年という短期スパンだけでなく、10年単位くらいのよりマクロな視点で経営環境を見渡して、事業の構造を組み立てていくことを考えていく必要がありそうです。
ポイント2:保険外分野の伸長は制度改正リスクを低減させるか?
介護保険に頼らないビジネスを立ち上げていきたい
福祉用具レンタルをやられている経営者なら、誰しも一度は考えたことがあることではないでしょうか。
その動機はさまざまだと思います。
☑単純に面白そう、やってみたい
☑制度改正に振り回されるのはカンベン
☑将来のリスクに備えて事業のポートフォリオを組み立てたい
経営者が「面白そう!」「やってみたい!」と思うことはとても重要です。
そもそも気乗りのしないことは、やってもうまくいかない確率が高く、経営者のやりたい気持ちは最大限に大切にするとよいと思います。
制度改正に振り回されたくない、リスクに備えて事業のポートフォリオを組み立てたいというのは、まさに制度ビジネスのリスク低減を見越してのことかと思います。
すでに新たな事業の柱をつくるべく、保険外分野にチャレンジしていっている会社さんもいらっしゃいます。
一方で「介護保険外の事業を伸ばしていきたいけど、いったい何をやったらいいんだろう?」というのが多くの経営者の本音の声なのではないかと思います。
考えたい、考えなきゃ、だけどこれといったアイデアはなく、刻々と時間ばかりが過ぎていく・・・
そんな状態から脱していくためにも、いろんな情報に触れ、業界の経営者からヒントを得る動きをしてみてはいかがでしょうか。
ポイント3:福祉用具レンタル会社が取り組む保険外分野の強化
福祉用具レンタル会社にとって、もっとも身近で、もっとも進めていくイメージがつきやすいのが「法人向け営業」ではないでしょうか。
病院や介護施設を対象に、営業を仕掛けていき消耗品や設備などの物販につなげたり、病院・施設内での法人レンタルへとつなげていく。
扱う商品はほぼ変わらず、ターゲットを在宅利用者から法人に広げていくイメージです。
「そうした分野があるのは知っているけど、いままで具体的に考えたことがなかった…」
意外とそうした方もいらっしゃるのではないかと思います。
スグとなりにあるマーケットでありながら、まさに「灯台下暗し!」すっかり見落としてはいませんか?
群馬県の東洋ケアサービス株式会社では、在宅利用者6,500名に加え、法人営業を大きく伸ばしており、年商18億円にまで一気に成長されています。
まさに介護保険レンタルで地盤を築きながら、介護保険外の法人営業分野をしっかりと事業の柱にしている典型例だと思います。
東洋ケアサービス・細野社長は法人営業の立ち上げ当初を振り返ってこうおっしゃいます。
「新規開拓を進めるなかで、本当に『売れるものは何でも売った』がむしゃらにやっていた。」
そんな熱いエネルギーを感じていただき、介護保険外の事業へのチャレンジへのヒントにしていただければと思います。
長い目で見ると、介護保険のレンタルだけの「一本足打法」はゆくゆく大きな岐路に差し掛かると思われます。
2024年度の制度改正だけでなく、会社の持続的な成長を見据えて、事業構造そのものを考える時期にきているのではないでしょうか。
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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司
【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。
⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp