福祉用具レンタル業 圧倒的な営業力はこうして生まれた!

社員1人あたり粗利 年間923万円
営業1人あたり売上 月間515万円

前号のコラムでは「福祉用具レンタル業 超・生産性を誇るあの会社が変革に取り組むワケ」として、株式会社西本・西本社長が会社の変革を進めるに至った過程をお伝えしてまいりました。
社内の生産性の行き詰まりと、営業スピリットの薄れに危機感を感じ、社内変革に着手することにした西本社長ですが、経営者として本気の覚悟とやり切るパワーが必要だったと言います。

そのあたりのところからお聞きしていきましょう。

社内変革を決断したというものの、それまでにできあがっている業務の流れを変えるのはなかなかたいへんです。

曲がりなりにも順調に成長し、会社として成果を上げているところ「なんでわざわざ変えないといけないのか?」という意見も当然ながら出てきます。

このままでは将来もっとしんどくなる…

信念のようなものをもちつつ、自分自身の危機感と将来イメージを共有しながら、コツコツと社内の説得をしながら変革を進めていきました。

まずはじめに着手したのが営業のテコ入れでした。
大きく分けると、現場で稼ぐメンバーと、営業の育成を行うメンバーそれぞれが役割を果たしながら成長していく組織を目指しました。
そうした組織のもとで、実施していったのは大まかに3つのことになります。

ポイント1:営業の教育プログラム

私が現場でやっていたころから大切にしている考えの一つに「未来提案」というものがあります。

介護が必要になった利用者さんに対して、「現在のお困り事」に対応するのは、いわば御用聞きであり、誰でもできる仕事だと思っています。
それに対して、未来のことを予測しながら先々必要になるであろうこと、あるいは利用者/ご家族が潜在的に望んでいる生活の姿を提案するのが「未来提案」です。

そうした提案をし、クロージングをかけていくには本当の意味での【営業としての力】が必要になります。
一般的な福祉用具専門相談員としての営業活動では、そうした提案力やクロージング力が磨かれることはほとんどなく、意図的に営業としての力を磨いていく必要があると思っています。

そうしたことから、株式会社西本では営業の教育プログラムを構築し、2週間に1回の頻度で営業スキル・営業マインドを磨き、一人一人が営業ノウハウを身に着けていく取り組みをずっと何年も継続しています。

それもあって、1人あたり月間平均500万円以上の売上を挙げられるような営業部隊になっているのだと思います。

ポイント2:営業成果と行動の数値化

私たちの会社では、営業の行動や成果をできる限り数値化し、誰でも見られる状態にしています。
営業の行動とは、居宅/包括への訪問数や、ケアマネジャーとの面談数、未来提案の提案数など営業が日々実行していること、チャレンジしていることを数値化しています。

また営業の成果としては、売上金額、粗利金額、新規件数、住宅改修の件数など、営業活動の結果として得られた成果を数値化しています。

そうした数値を日々、その瞬間にリアルタイムで把握し、営業メンバーから事務スタッフさんから、もちろん社長まで、誰もが見られるようにしています。営業の数値を明確にし、基準を決めて、数値をもとにフィードバックをしていく。

そうしたことが「当たり前の基準」を高い水準で保ち、ひいては社内の「水質管理」として純度の高い状態を維持できるのだと思っています。

ポイント3:営業同行でのトレーニングの仕組み化

みなさんの会社でも営業同行というのはされていると思います。

ただ、新人が入ってある程度独り立ちするまでの期間の営業同行はあっても、それ以後は個人がそれぞれで動くようになるというのが一般的な姿ではないでしょうか。

株式会社西本では、いっぱしの営業として独り立ちした後も、ずっと継続して営業同行を行っています。

2週間に1度の頻度で、課長以上の社員が営業メンバーに同行し、ケアマネジャーとの接し方、利用者宅でのふるまい方や現場での目の付け所、提案の進め方などを直接眼で見てその場でフィードバックとアドバイスを行います。

同行する役割である課長になると営業の育成を行う側として、自身でも営業成果を上げられる力があるのはもちろん部下に対して成果を上げさせるよう指導を行う力が求められます。

少し余談にはなりますが、わが社では営業の育成を行う側になった途端に、一気に報酬が上がるような賃金制度の設計になっているのもそのためです。

今回のコラムでは「福祉用具レンタル業 圧倒的な営業力はこうして生まれた!」として、株式会社西本様の営業力の源泉を追究してまいりました。

次回は「福祉用具レンタル業 最新時流から読み解く!なぜ生産性向上が必要か?」として、そもそもなぜ生産性を上げていかなければならないのかを解説してまいりたいと思います。

ぜひご期待いただき、次号のコラムもお読みください。

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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