福祉用具レンタル業 最新時流から読み解く!なぜ生産性向上が必要か?

社員1人あたり粗利 年間923万円
営業1人あたり売上 月間515万円

前号のコラムでは圧倒的に生産性を上げている事例としまして、株式会社西本様を取り上げさせていただきました。
西本社長が社内変革に取り組むことになったきっかけ、圧倒的に営業力を高めるために取り組んでいることなどをお伝えしてまいりました。

今回は、そもそもなぜ生産性を高めないといけないのか、福祉用具レンタル業を取り巻く業界事例を踏まえながらみなさまと一緒に考えていきたいと思います。

ポイント1:今後ますます人材採用は厳しくなる…

福祉用具レンタルの事業環境を考える際に、絶対に外してはいけないキーワード、それは、、、

人口減少

です。

すでに日本のさまざまな地域で人口減少が進んでいるということは、わざわざあらたまって言わなくともみなさまも感じていらっしゃるところだと思います。

人口減少が進むと、業界に影響を与える要素として2つの側面があります。

一つはマーケットの縮小です。

以下の地図をご覧いただくと、

これは福祉用具利用者数の前年比伸び率を都道府県別に色分けしたものです。

赤やオレンジのところは4~5%というように、全国平均と比べてまだまだ高い伸び率のエリアです。

一方で、緑や青に近づくほど、伸び率が低くなっている地域です。

高齢化はまだまだ続くものの、人口減少ペースがそれ以上に高く、マーケットが縮小していく。
これから年を追うごとに、緑や青のエリアが増えていくと考えられます。

実際に、より現場に近い表現をすると、

「新規利用者が以前ほど出てこない割に、やたらと解約される方が多くなっている。」

そうした現象はすでに起こっていると思いますが、今後ますます加速していくと考えられます。

もう一つは人材不足です。

こちらもかなり深刻な事態をもたらすことでしょう。

人口減少、その一因である少子化は、生産年齢人口の減少へとつながります。
生産年齢人口とは、15歳~64歳の年代を指し、ちょうど労働力として戦力になる世代のことをいいます。
単に人口が減少するだけでなく、この生産年齢人口が減っていくことが大きな問題です。

人口推計によると、このままでは2030年に644万人の労働力が不足すると言われています。
644万人というとどのくらいの人口規模かというと、全都道府県のなかで千葉県が第6位で約630万人、第5位の埼玉県は約730万人ということで、おおよそ千葉県の人口に匹敵するくらいの労働力が不足するとされています。

そんな数字を見るまでもなく、人材不足であり、採用難であることはみなさまも日々感じていることと思います。
その人材不足や採用難が、今後ますます、もっともっとシビアなものになると予想されているのです。

本当に恐ろしいですね。。。

ポイント2:事業所の成長と人材不足問題のジレンマ

人口減少からの人材不足は、さらに恐ろしい問題を引き起こします。

ほとんどの会社は現在よりも業績を伸ばそうと、日々営業努力を重ねていることでしょう。

少なくとも、このコラムをお読みいただいている会社様は、業績を伸ばしたいという思いをもって、その活動をされていると思います。

その努力が実り、着々と利用者数が増え、事業所として成長をしていったとします。

一方で、今後ますます人材不足が顕著となり、人が増やせない環境が進みます。

人が増やせないならまだしも、ベテラン社員の引退や、若手社員の退職、他社への流出が起こったとしたらどうでしょうか。

現在のサービスを維持することができなくなるかもしれません。

既存利用者の対応で手いっぱいになり、営業活動ができなくなるかもしれません。

モニタリングに訪問する時間が取れず、ケアマネから不信感を持たれるかもしれません。

必要な書類を作成することができず、実地指導でNGを食らいまくるかもしれません。

せっかく新規のお声がかかっても、対応することができず他社に流れることが続出するかもしれません。

ひとつひとつの「かもしれない」は、もしかするとみなさんの会社で現実に起こっている可能性があります。

かといって、それを何とかしようと人を増やしたくても、増やせない外部環境になるのです。

こうなると本当に「人手不足倒産」という最悪の事態が頭をよぎりますね。

「そんな大げさな…」

と思われるかもしれません。

確かに「いま」は大げさに聞こえるかもですが、数年後にはこうした状況が本当にリアルに目の前に突き付けられることも想定しておく方がいいと私は思います。

そうした想定をした上で「いま」どうするべきかを考えていただきたいと思います。

ポイント3:生産性を上げるには会社としての決断が不可欠

最悪のケースとして「人手不足倒産」というのも現実のものになるというお話をしました。

そうした未来が予想されるからこそ、

生産性向上に取り組む必要がある!

と声を大にして私は言いたいのです。

お仕事の生産性が上がるということは、いまと同じ人数でより多くの仕事をさばくことができます。
あるいは、いまより少ない人数でいまと同等か、より多くの仕事をさばくことができるということです。

それは決して、「がんばれー!」と社員を鼓舞して(お尻を叩いて)マンパワーでさばくということではありません。

例えば、仕事の役割分担(分業化)を進め、より効率的な業務体制をつくるとか。
例えば、RPAといわれるロボットによる自動化を進め、人が介在せずにルーチン業務を進めるとか。
例えば、ChatGPTのように生成AIを活用して業務を進める仕組みをつくるとか。

感度の高い経営者はすでにそうしたことにチャレンジをし始めています。

RPAや生成AIなどはじめは扱い方が下手くそで、いまいち思うようにいかず失敗を積み重ねたとしても、そうしたことにチャレンジしはじめているのです。

一方で、世の中の多くの方はこんな風に思うかもしれません。

「いやいやRPAとか、この業界ではハマらないでしょ。無理無理…!」

失敗してもチャレンジしはじめる会社と、頭から否定して何も変えようとしない会社。
数年経ったときに、その差は埋めることができないくらいの隔たりになっているような気がします。

話を戻すと、生産性を上げるには決して社員に「がんばれー!」というのでは上がるべくもありません。
会社として「生産性を上げる」という決断をし、これまでの体制、組織、業務フローをあらためて見直し、変革に取り組んでいくことが必要になります。

経営者としての決断は、もう「待ったなし」のところまできている!

と私は思います。

今回のコラムでは「福祉用具レンタル業 最新時流から読み解く!なぜ生産性向上が必要か?」として、現在の業界時流や外部環境から生産性向上が必要な理由について解説してまいりました。
次回は「福祉用具レンタル業 生産性アップと採用力強化で新時代を切り拓け!」として、新しい時代をつくる福祉用具レンタル会社の姿についてお話してまいりたいと思います。
ぜひご期待いただき、次号のコラムもお読みください。

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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