福祉用具レンタル業 2024年以降の業界時流と経営の方向性

福祉用具レンタルの業界ってこの先どうなっていくんだろう・・・?

福祉用具レンタル会社の経営者なら多くの方が業界の行方は気になるところだと思います。
それもそのはず、いま業界は大きな潮目の変化を迎えておりこの先の経営の舵取りは非常に重要なものになってくるタイミングです。

今回のコラムでは業界時流の同行と経営の方向性について考えてみたいと思います。

ポイント1:福祉用具レンタル業界の時流予測

介護保険制度改正の行方

これまでにも何度かコラムに取り上げさせていただいておりますが、貸与と販売の選択制についてのおおよその方向性がまとまりました。
より詳しくはこちらのコラムをお読みいただければと思います。

福祉用具レンタル業 2024年介護報酬改定は業界にどう影響する!?

ざっくりまとめると、

◆2024年度介護保険制度改正、とくに「貸与と販売の選択制」はマイルドに着地する見込み
◆一方で2027年度以降の改正の行方、さらにはメーカー/卸の動きによっては福祉用具レンタル業界は大きなゲームチェンジのリスクもある

福祉用具レンタル業界のマーケット予測

福祉用具レンタル業界の市場規模(≒福祉用具貸与の費用額)は2021年に3,935億円となり、前年比105%台という成長となりました。
過去の伸び率と比べても堅調に市場成長を続けていると捉えることができると思います。

ただし、地域によって様相が変わってくるようになってきており、都道府県別、また市町村別にみるとすでに前年割れ、つまりマイナス成長となっている市場もあります。
より詳しくはこちらのコラムもお読みください。

最新!福祉用具レンタルの市場環境はどうなっている?

そうした現状を踏まえてマーケットの予測をざっくりまとめると、

◆全国では堅調に市場成長の一方で、都道府県/市町村によってマーケットの縮小はすでにはじまっている
◆福祉用具レンタルは成熟期に突入。数年後にはピークを迎え、その後は市場縮小に至るフェーズが訪れる

人口動態からすると2040年までは高齢者数は増え続けるという予測でありながら、それを上回るペースで人口減少が進むと、より早いタイミングで市場縮小のフェーズに入っていくことも考えられます。

事業特性と経営改善の方向性

業界が成熟化し、その後市場縮小に至ると考えると、事業のあり方も考えていかなければならないと思います。
これまで福祉用具レンタル業界は手堅く利益を出せる事業であり、また市場も堅調に成長している、いわば「花形」のポジションでありました。
それが市場成長が鈍化してくると「花形」と「金のなる木」の間くらいのポジションに移っていき、
やがてさらに市場成長が停滞し、また事業環境が厳しくなっていくと、成長率も低く、収益性も低くなる「負け犬」のポジションへと落ちてしまうことも考えなければならない可能性もあります。

いまのうちに新規事業に取り組み、新たな利益の種を育てていくことが求められるようになるでしょう。

そうしたことをざっくりまとめると、

◆いまのうちに儲かる体制を強化し「金のなる木」を維持、新規事業で次なる「花形」を育てていこう
◆既存事業においては生産性を高めて人材難時代でも利益を確保できる体制をつくること、並行して介護保険外の新規事業にチャレンジしたい

ポイント2:事業所規模別 業界企業の経営の方向性

事業所規模別の経営の方向性として、次のようなことに取り組んでいただきたいと考えています。

【利用者数500名未満】

課題解決の方向性
黒字化ラインを超えない
新規獲得力が弱い
とにかく利用者数を増やす
まずは安定して損益分岐点を超える

【利用者数500~1,000名】

課題解決の方向性
油断すると解約に負ける
トップ営業に依存している
自社の営業勝ちパターンをつくる
営業のフォロー体制をつくる/磨く

【利用者数1,000~5,000名】

課題解決の方向性
将来的なゲームチェンジのリスク
戦略・組織に体制が追い付かない
卸レンタル/自社レンタルのポジションづくり
戦略に沿った組織デザインと人事制度

【利用者数5,000名以上】

課題解決の方向性
過去の成功体験への固執
組織の肥大化・硬直化
将来を見据えて戦略&組織の変革

今回お伝えしました「2024年以降の業界時流と経営の方向性」というテーマについて、

福祉用具レンタル業 時流予測レポート2024

としてレポートにまとめています。

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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