最新!福祉用具レンタルの市場環境はどうなっている?

福祉用具貸与はまだまだ市場が伸びているんでしょ!?

私もそう思っていたのですが、最新のデータを見てみるとそうとも言えない事態になってきています。
これまでは上りのエスカレーターだったのが、今後は動く歩道のようにフラットになったり、はたまた下りのエスカレーターになってしまうこともあるかもしれません。

今回のコラムでは最新の市場環境ということで、いくつかのデータを洗いながら業界の姿を概観していきたいと思います。

ポイント1:市場の成長率は地域によって急低下も!?

まずは福祉用具レンタルという市場の全体像についてみてみたいと思います。
厚生労働省が公表している統計資料に「介護保険事業状況報告」というものがあります。
毎年の福祉用具貸与の費用額を見ると、全国でどのくらいの市場規模があり、そのトレンドがどうなっているのかがわかります。

このデータを見ると、

2002年に1000億円であった費用額が、2021年には3935億円にまで伸びてきています。

20年でおおよそ3.9倍の成長です。

20年で3.9倍を単純計算で年率換算すると、毎年7.5%の成長となります。
だいたい8%ずつ伸びていった結果、2021年に3935億円になったというわけです。

ただ、これは当然ながら一律の伸びでそうなったわけではありません。
2000年代の前半は8%を超える大きな伸び、2010年を過ぎると6%台の成長率となり、2015年以降は4~5%の伸びという市場成長となっていました。

明らかに市場の成長率が鈍化しているということを頭に入れておかないといけません。

一方で福祉用具利用者数の推移についても見ていきましょう。

全国の福祉用具利用者数は、

2020年 237万人
2021年 248万人(前年比+4.8%)
2022年 256万人(前年比+3.3%)

こちらを見ると、利用者数ベースでは2021年は前年比4.8%の伸び(費用額は+1.7%にとどまる)、これも2021年から2022年にかけては3.3%と伸び率の鈍化がみられます。

こうしたデータを見るにつけ、市場成長が頭打ちになってきているということが客観的にわかると思います。
業界ライフサイクルで考えると、成長期は完全に過ぎ去り、成熟期を突き進んでいると解釈できると思います。

このライフサイクルに例外はなく、どんな業界もいつかピークである転換点を迎え、やがては市場縮小に至ります。
福祉用具レンタル業界も何年か後にはピークを迎え、その後は市場縮小していく段階へと進んでいくでしょう。

いまのうちに、どんな戦略を立てておくか、経営者のみなさんは真剣に考える時期にきていると捉えていただきたいと思います。

ポイント2:都道府県別、市町村別、エリアによって明暗が分かれる

とはいってもまだプラスの成長なんだよね?

そうも言っていられない事態が、地域によっては起きていることも知っていただきたいと思います。
下の日本地図は、都道府県別に福祉用具利用者数の伸び率によって色分けをしたものです。

赤やオレンジ、黄色の都道府県はまだ伸びていますが、緑や青色にいたっては極めて低成長、ほぼゼロ成長に近いエリアもいくつか見ることができます。

新潟県:100.4%
長野県:101.4%
高知県:101.3%
山形県:101.8%
福井県:101.9%

これらの地域はどこも高齢化が進展している県だと思いますが、それ以上に人口減少のペースが早いと考えられると思います。

もっとも伸び率が低い新潟県で、市町村別に成長率を見てみると、全30市町村のうち、
100~103%:7市町村
100%未満:13市町村

なんと13もの市町村が前年割れ、マイナス成長となっています。

人口減少は日本中のあらゆる都道府県で起こっており、どの都道府県でもやがては同様の現象となっていくと考えられます。
新潟県がなにも特別なことではなく、ある意味もっとも未来を先取りしている地域であると考える方がいいのかもしれません。

このように、日本全体としても市場成長の鈍化傾向が見られるうえに、都道府県別や市町村別など地域ごとに見ていくとその様相は明暗が分かれています。
成長は鈍化しているとはいえ「それでもまだまだプラス成長でしょ!?」
と思っていると、足元ではすでに市場縮小がはじまっている地域もあるということを認識しておかないといけません。

みなさまのエリアはどんな状況でしょうか。
とても気になるところですね!

ポイント3:これからの福祉用具レンタル市場との向き合い方は?

ここまで見てきたことをざっと整理すると、

〇福祉用具レンタルの市場は費用額ベースでも利用者数ベースでも低成長の段階に入った
〇都道府県別・市町村別などエリアで見るとすでにマイナス成長のところも出てきている

先ほど少しふれたライフサイクルについて、イメージを下の図に挙げておきます。

どんな業界も、これは例外なく、導入期から成長期を経て成熟期に入りやがては衰退期へと移行していきます。
福祉用具レンタル業界においても、現在は完全に成熟期に突入しており、ピークを迎える少し前の段階と捉えることができると思います。

ピークを迎えると成長率はゼロとなり、やがては衰退期に向かってどんどん市場が縮小していく段階へと至ります。

プラス成長の時期:上りのエスカレーターに乗っている。止まっていても勝手に上に運んでくれる

ゼロ成長の時期:動く歩道に乗っている。何もしないと横ばい

マイナス成長の時期:下りのエスカレーターに乗っている。逆行しながら上っていかなければならず、かなりしんどい

そんな風にイメージしていただけるといいかと思います。

やがて訪れるゼロ成長やマイナス成長の時期の福祉用具レンタル市場との向き合い方はどう考えるべきでしょうか。

一つ言えることは、市場縮小のステージになると「優勝劣敗」がくっきりしてくるということになります。
この段階になると、市場の縮小スピードをはるかに超えるスピードで、プレイヤーの退出が進みます。

もう少し平たく言うと、小規模の事業者が廃業や事業譲渡をするケースが多くなり、中~大規模事業者にどんどん吸収されていくと想定されます。

マーケットからドロップアウトする側になるのか?
そうしたプレイヤーを吸収する側にまわるのか?

いまのうちに、どちらサイドの企業になるのかをはっきりと決めておき、来る時期への準備も必要なのではないかと思います。

もう一つ考えておきたいのは、事業全体としての戦略をどう組み立てるかだと思います。

福祉用具レンタルはやりようによってはかなり儲かる業界です。
収益性は高く維持できる一方で、成長性がかなり鈍化する。

PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)的に考えると「金のなる木」になりうる事業です。

そう考えると稼げるうちにキャッシュを稼ぎ、次なる事業を育成していくという視点も必要かもしれません。

介護保険事業全体が、財源の行き詰まりや人口減少に直面していくことから低成長時代に入っていくことを考えると、
〇保険外の事業を育成していく
〇思い切って海外へマーケットを求める

そうしたことが求められるのではないかと思います。

いずれにしても、これから福祉用具レンタル業界は大きく潮目が変わる時期に差し掛かっています。
市場全体および自社の事業全体を俯瞰して捉え、「経営者」としての判断・決断が求められると捉えていただきたいと思います。

「勝つ」か「負ける」か、あなた次第です!

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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