令和3年度介護保険制度改正のポイント解説

◎みなさまこんにちは。
船井総合研究所の入江貴司です。いつも「福祉用具&リフォーム業績アップコラム」をお読みいただきありがとうございます。

≪要点をまとめると…≫

【ポイント1】福祉用具貸与価格の上限設定について

【ポイント2】退院・退所時のスムーズな福祉用具の利用

【ポイント3】次の改正がヤマ場か!?令和6年度改正の論点

≪以下 詳細内容≫
令和3年の介護保険制度改正の要旨がほぼ固まってきました。今回はその概要をポイント解説していきたいと思います。
幸いなことに今年度の改正では特に目立ったものはなく、比較的平穏におさまりそうな内容となっています。
ただ、次の改正、令和6年度の制度改正が大波になるのではないかと言われており、その議論の方向性を押さえておくことも重要となるでしょう。
そうした論点についても合わせて触れておきたいと思います。

◆ポイント1:福祉用具貸与価格の上限設定について
今回の改正で「福祉用具貸与価格の上限設定」についての議論も行われました。
平成30年度、つまり前回の改正で貸与価格の上限設定が行われました。
福祉用具貸与事業所のみなさまには、たいへんな事務負担、カタログ改定の負担などがあったことと思います。

これに関して、今回の社会保障審議会で議論されたことの結論として、以下のように書かれています。

全国平均貸与価格の公表・貸与価格の上限設定については、一定の適正化効果が見られることから継続しつつも、毎年度見直ししても十分な適正化効果が得られない一方、事業所負担が大きいことから、他サービスと同様、「3年に一度」の見直しとしてはどうか。
出典:令和2年6月1日第177回社会保障審議会介護給付費分科会(オンライン会議)資料4「福祉用具貸与価格の上限設定について」

ざっくり言うと、上限設定によって給付費を抑える成果はあったけど、貸与事業所の負担がたいへんだから、3年に1回ペースでいいんじゃない?ということになったようです。

一定の成果と言いますが、平成29年10月の給付費ベースで3.4億円が上限価格超過分だったようで、月間給付費250億円の1.3%。
「大山鳴動して鼠一匹」のように思えるのは私だけでしょうか。。。

◆ポイント2:退院・退所時のスムーズな福祉用具の利用
もう一つの論点が「退院・退所時のスムーズな福祉用具の利用」でした。
これは、退院や退所のカンファレンスで福祉用具専門相談員が呼ばれないケースがけっこうあり、スムーズに退院・退所して在宅生活を送るには、もっと積極的に福祉用具を関与させていくべきなのではないかという点が議論されたものです。

これに対しては、対応案として次のように書かれています。

居宅介護支援の退院・退所加算等の要件において、福祉用具の貸与が見込まれる場合は、福祉用具専門相談員や作業療法士等の関係職種の関与を明示してはどうか。
出典:令和2年11月9日第193回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料12「福祉用具・住宅改修」

今後は退院・退所前のカンファレンスにより積極的に福祉用具専門相談員が関与することが求められるようになるようです。
カンファレンスという場を「ただ呼ばれて出席すればよいだけ」という消極的なスタンスで捉えている貸与事業所はこの主旨からは外れていきます。

カンファレンスという場でもいかに優れたパフォーマンスを見せていくか。
貸与事業所の質が問われることになりそうです。

◆ポイント3:次の改正がヤマ場か!?令和6年度改正の論点
冒頭にも書きましたが、次の改正、令和6年度の制度改正が大波になるのではないかと言われています。

どんな大波なのか、現在議論されているのは、歩行補助杖、手すり、歩行器といったアイテムの取り扱いを「貸与」ではなく「販売」にするかといったことのようです。

この議論の発端は、そもそもは福祉用具貸与がどうこうというよりも、杖、手すり、歩行器のレンタルだけという利用者がけっこうな割合であって、それだけのためにケアプラン料の給付で何年も負担しているのはどうなの?ということにあるようです。

レンタル手すり1アイテムだけ借りている利用者さんがいて、手すりの給付費は大した金額じゃないけど、その分のケアプランで1万円以上が毎月給付費として介護保険から負担しているよね。それってどうなの?という点を財務省から指摘されています。

折しもコロナ禍で税収が減る一方で財政負担がかなり厳しくなっている現状を考えると、相当なバッドシナリオも覚悟しておかないといけません。

そのシナリオとは、杖、手すり、歩行器といったアイテムが介護保険での貸与から外れるということです。
そうなると販売するか、利用者様によっては自費でレンタルするかといったことを検討しなければなりません。

これらのアイテムは貸与品目のなかでも大きな割合を占めていることから、ほとんどの貸与事業所は影響を受けることになるでしょう。

現時点では、このくらいしか書くことはできませんが、こうした議論の行き先は定期的にウォッチしながら、お伝えしていこうと思います。

一方で、業界のなかで勝ち残りを果たしていこうと思うと、強靭な企業体質に変えていく努力も必須となるでしょう。
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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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