福祉用具レンタル業 値下げ勝負への対抗策・・・それって本当に正しいの!?

「競合が自費ベッドを★00円で出してきた。。。」

それはヤバイ、いますぐに対抗策としてウチもいくらで出せるか検討しよう!

競争の激しいエリアではこれまでにもイヤというほど見聞きしてきたことではないでしょうか。
自費ベッドだけでなく、販売商品でのキャンペーン特価とか、値段勝負をしかけられることはいくらでもあると思います。
こうした競争に対して、どう対抗策を考えていけばいいのか、あるいは対抗策を考えることそのものが本当に正しいのか?
今回のコラムでは「福祉用具レンタル業 値下げ勝負への対抗策・・・それって本当に正しいの!?」をテーマに考えてみたいと思います。

ポイント1:パワーゲームに惑わされるな!

冒頭の自費ベッドのような値段勝負をしかけられるようなことは、けっこう福祉用具業界「あるある」ではないでしょうか。
あるいは、販売商品でシャワーチェアやポータブルトイレをちょっとびっくりするような金額で、価格攻勢をしかけられることもあるかもしれません。

また、ある事業所さんではこんな話もありました。
「他の事業所がデモ期間を1ヶ月でもOKと言って来てるんです。。。」

このように金額やデモ期間といった取引条件で、特に大手レンタル事業所が仕掛けてくることはありがちなことだと思います。
大手ならではの企業体力を活かしてマーケットを制圧しようとしてくる。

まさに「パワーゲーム」です。

こうしたパワーゲームに対抗して、より安い金額を提示したり、より長いデモ期間を提示したりする必要はあるのでしょうか?

答えは「否」です。

・・・というか中小レンタル事業所にパワーゲームに対抗できる体力はありません。

そうしたパワーゲームの作戦を展開していることを知っておくことは必要ですが、ほっておけばいいと思います。

「ほっておくって、何もせずに指をくわえて見ているってこと!?」

そんなことはありません。
大手には大手のやり方があり、中小レンタル事業所は自社ならではのやり方で戦っていくことです。

ランチェスターの戦略には「強者の戦略」と「弱者の戦略」があります。
強者とはシェア上位の者を指し、ここでは大手事業所と言い換えます。
弱者とはシェア上位以外の者を指し、中小レンタル事業所は弱者といえるでしょう。

強者の戦略とは、簡単にいうとパワーゲームに持ち込むこと。
企業規模、体力にものを言わせて、ガチンコ勝負で消耗戦に持ち込めば、相手は早々に勝負を降りて白旗を上げることになります。
価格競争、人海戦術、大々的な広告宣伝などが典型的な強者の戦略です。

一方で弱者の戦略としては、強者と同じ土俵で戦わないことがポイントです。
同じ土俵で同じ戦いをしても、絶対に勝てません。
違った土俵で、違った戦い方をすること、すなわち「差別化」が弱者の戦略です。

びっくりするような低価格で攻めをしてくるというのは典型的な強者の戦略です。
中小レンタル事業所がその戦いに乗らなくてもいいという理由がお分かりいただけたのではないでしょうか。

もし、そうした価格攻勢に直面したら、ちょっと落ち着いて一呼吸。
あたふたせずに、冷静な頭で「乗るべきか、乗らざるべきか」「どう差別化の戦略を組み立てるか」考えると良いと思います。

ポイント2:いかに差別化するか? ~船井流差別化の8要素~

中小レンタル事業所にとって重要な戦略は「差別化」だとお伝えいたしました。

船井流経営法に「差別化の8要素」というのがありまして、8つの要素とは次のようになっています。

1.立地
2.規模
3.ストアロイヤリティ(のれん)
4.商品力
5.販促力
6.接客・営業力
7.価格力
8.固定客化力

上から順に差別化のパワーが強いというものなのですが、価格力は7番目に位置しています。
価格攻勢はすごく脅威に感じるのですが、実は差別化のパワーは他の要素の方が強いものがあると捉えることができます。

競合他社の価格攻勢に追随することは、安易ですが、逆に言うと「策がない」と言えると思います。
むしろ他の要素に注目して、強みとなる要素をつくっていく方が強力な差別化パワーを得られるというものです。

例えば前回のコラム

「福祉用具レンタル業 地域包括のケアマネ目線で見た売れる営業とは!?」

で、ケアマネに受ける作戦の例として、

作戦1つ目:間取り図の作成
作戦2つ目:健康体操

これらを紹介しました。

間取り図の作成は【商品力(サービス力)】と捉えられますし、健康体操は【販促力】と捉えることができるでしょう。
そうした作戦を一つ一つ積み重ねていくことで「軽度者対応に強い事業所」または「住宅改修に強い事業所」という評判が浸透していけば、それは【ストアロイヤリティ】につながっていくでしょう。

一見、派手でインパクトがあるように見える価格攻勢に惑わされずに、いろいろな側面から差別化につながるようにコンセプトを打ち立て、商品・サービスを磨いていくことが重要と言えると思います。

ポイント3:ケアマネ営業はココを知っているかで変わる

ここまで、たとえ競合他社が安値の価格攻勢をしかけてきても、それに乗る必要はないというお話しをしてきました。

それでも、

「やっぱり金額に反応するケアマネはたくさんいるのでは?それを失うことになると思うと・・・」

と感じる方もいるかもしれません。

確かに金額に反応して「そら、利用者さんに使ってもらうのに安い方が絶対いいわ。」というケアマネもいるでしょう。

そうしたケアマネは全体のうちのどれくらいでしょうか?

そうしたケアマネは全体のうちのどれくらいでしょうか?

金額という表面的なことに右往左往するのではなく、もっと本質的なことに目を向けていただきたいと思います。
より本質的なこととは、ケアマネが何を欲しているか?ということです。

目の前のケアマネージャーはどんなことに困っていますか?
何を欲していて、あなたに何をして欲しいと思っていますか?

ケアマネージャーと福祉用具レンタルの営業スタッフは、一緒に利用者さんの問題を解決していくチームです。
同じチームのメンバーとして、相手がしてほしいことを理解できているでしょうか。
それは、ただ安いだけのチラシを配ることで、そのしてほしいことに応えることができるでしょうか。

売れる営業と売れない営業の差はそうした意識の差で決まるように思います。
自分たちがいったい何者で、どこを目指しているかということを正しく捉えることができているかどうかです。

売れない営業は、そうした意識がそもそもありません。
目の前のケアマネはただのケアマネでしかなく、十人十色でみんないろんな無理難題を言ってくる。
「よその会社、ほらこんな安くしてるよ~ あんたのとこはどうなん?」
ケアマネが言う、ちょっと聞きかじった話に右往左往するしかできません。

一方で売れる営業は、同じ目的をもつパートナー、チームとして捉えています。
そうした意識で常にケアマネが潜在的に困っていること、やってほしいことを見つけてそれを埋めるような動きをしています。
相手からも十分にチームとして認めてもらっているので、競合他社の安売りチラシを見たとしても、
「金額以上にいつも支えてもらってるから、〇〇さんにお願いしよー!」
と思われています。

当たり前かもしれませんが、売れている営業スタッフ、業績が良い福祉用具会社ほど、

「ケアマネ営業はカンタン」

とおっしゃいます。

ツボを知っているかどうか。
ただそれだけだと思います。

今回のコラムでは値下げ勝負に対抗する上での考え方について書いてきました。

「現場を知らないコンサルふぜいが何を言うとる!」

と思われるなら、それでもけっこう。無策のまま一生不毛な争いに右往左往し続ければいいと思います。

無駄な消耗戦から抜け出して、中小レンタル会社でも打ち勝っていきたいと思われるのであれば、
自らの視点を上げて、より本質的な差別化につながる策を打っていっていただきたいと思います。

みなさまにとって、少しでもご参考になれば幸いです。

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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