福祉用具レンタル業 営業の新規依頼対応力がグンとアップする現場調査研修とは?

営業のトレーニングをやっていない会社は伸びない!

以前にコラム福祉用具レンタル業 伸びる会社の営業はココが違う!で書いたように、伸びる会社の営業は忙しい合間を縫って定期的にトレーニングを行っています。
裏を返せば伸びない会社の営業は(たいして忙しくもないのに)「時間がない」を言い訳に、ろくにトレーニングをやっていないのが実態です。

ではトレーニングって何をやればいいのか?

営業としてのトレーニングでオススメなのが【現場調査研修】です。
これをやることで、新規依頼の対応力が驚くほど磨かれ、また住宅改修×福祉用具の提案力が各段にアップします。

そんな【現場調査研修】の秘密を、このコラムをお読みの方だけに特別にお伝えしたいと思います。

ポイント1:まずは図面作成の実地研修からスタート

現場調査研修をやるのに、実施場所として実際の家屋を準備したいところです。
できれば空き家のような物件があればベストです。

知り合いの不動産屋さんにお願いして、その研修の日だけスポットで貸してもらえるケースなどがあります。
また、不動産屋さんに知り合いがいないとか、適した空き家物件がないとかの場合であれば、社長や社員のご自宅を使われるケースなどがあります。
いずれにしても、サンプルとして現場調査を行う場所を、研修の題材として準備するところから始まります。

場所が確保できたら現場調査研修のスタートですが、まずは「図面作成の実地研修」を行います。
以前にもこのコラムでご紹介しましたが、営業スタッフが、その場で、手描きで、間取り図を作成するスキルを鍛えます。

ちなみに私が作成した間取り図のサンプルを掲載しておきました。

間取り図の描き方を習っても、現場で使わないと意味がありません。

「現場ではなかなか時間がなくって…」
「利用者さんに『図面を描きます』っていうのが嫌がられるので…」

図面を描かない営業スタッフはそんな「できない言い訳」をするものですが、現場調査研修の場面ではそんな心配は一切要りません。

時間も、嫌がる利用者も、まったく関係なく、思う存分に間取り図を描くことができます。
(もっとも、嫌がる利用者さんなんて実はいないのですが。。。笑)

図面を描くということをやってみると、営業スタッフによって出来上がりに随分と差が出ることがわかります。

しっかりと描けている営業スタッフの図面を見ると次のような特徴があります。

・家屋の全体像を把握してから描き始める
・どこから描くかをしっかり考えた上で描いている
・玄関・トイレ・お風呂・寝室の主要な部位を漏らさずに描いている
・同じく玄関・トイレ・お風呂・寝室について断面図を記載している
・自信をもって描いているので筆圧が強く見やすい図面になっている

20分~30分という時間を決めて数名の営業スタッフでやってみる。
これを定期的に実施していくことで、営業スタッフの図面作成のスキルアップを図ります。

あとは利用者宅の現場での実践あるのみですね!

ポイント2:提案ロープレが新規依頼対応力アップのカギ

図面作成の実地研修をやったら、次は【提案ロープレ】を行います。


営業スタッフごとに、提案する生活シーン(玄関・トイレ・お風呂・寝室など)を決め、利用者役、ご家族役、ケアマネ役などを設定して、新規訪問の現場調査&提案のロープレを行うものです。

このとき、利用者の設定をかなりリアルに決めていくと面白いロープレができると思います。

・年齢、性別、同居の有無などの基本情報
・介護度、疾患の状況、歩行の程度、認知の有無などの身体状況
・ふだんの行動パターン、トイレの頻度、趣味などの付帯情報

基本情報や身体状況はある程度決めておき、付帯情報はロープレのなかでアドリブで設定をつくっていってもいいと思います。

営業スタッフが利用者・ご家族への聞き取りから、動線確認、現場調査を行い、住環境の改善について提案を進めていくロープレを行います。
周りで見ているスタッフは営業スタッフの提案について、よかった点や見直した方がいい点などをフィードバックするようにします。

正直なところ、ふだん利用者宅でやるのと比べて、社内メンバーを前にして提案ロープレをするのはむちゃくちゃ緊張すると思います。

詳しい人たちを前に提案を進めるのはプレッシャーを感じるのも無理はありません。
そうした緊張状態でも訪問の際の一通りの流れをつくり、負担を軽減する住環境整備の提案を行い、次のアクションまでまとめることで、間違いなく力が付いていくと思います。

やってみるとかなり面白いです。

【現場調査研修】ハッキリ言って超・オススメです!

ポイント3:間取り図を使った利用者の事例検討会

【現場調査研修】はかなりオススメですが、他にもう一つオススメのトレーニングがあります。

それは利用者さんのケースを使った事例検討会です。

準備するものはとてもカンタン。
利用者宅で作成した間取り図があれば開催できます。

担当の営業スタッフからその利用者さんのプロフィールを説明し、間取り図を元に提案した内容を共有していきます。
他のメンバーはその内容を聞いた上で、質問をしたり、他の提案をアドバイスしたりすることで、いろんな視点から住環境整備を考察していきます。

ひと通りフィードバックが終わったら、次は将来を考えたさらなる提案を考えていっても良いと思います。

現場で提案することは、「いまの困りごと」に対する解決策になると思います。

一方で、将来の病状の進行や体力の衰え、環境の変化など時間の経過とともに状況が変わり、提案する内容も新たなものへとアップデートしていく必要があるでしょう。

そうした思考をトレーニングしておくことで、

・「いまの困りごと」に対する現状の提案
・先々の環境変化を見越した将来の提案

そんな提案の幅を広げることができると思います。

今回のコラムでは、営業のトレーニングの事例として【現場調査研修】の進め方についてお伝えしてきました。

このやり方を知って、すぐさま自社に取り入れて営業スタッフの血肉に変えていくのか?
はたまた「そうは言っても、時間がないし・・・」と言って、やっぱりできない言い訳を続けていくのか?

やるもやらないも、将来の運命を決めるのはアナタですよ!

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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