福祉用具レンタル業 包括攻略を進める会社が取り組んだ3つのこと

「いやぁ最近ホントに目に見えて好調で、ある営業なんて1日に3件続けて地域包括から新規もらいましたよ!」

福祉用具&リフォーム経営研究会の会員企業で、目下地域包括攻略メソッドに取り組んでいる会社にお聞きしてきました。
ここ1~2年のトレンドは利用者数が横ばい~微減傾向で、なんとか上昇基調にもっていきたいと考えていたところ。
シンプルに取組める方法を学び、習得し、実践していくことで利用者数がどんどん純増していっています。

今回は成功事例報告ということで、地域包括の攻略に取り組む会社の姿をレポートしていきたいと思います。

ポイント1:若手はがんばって回ってる!でも伸びない・・・

この会社は利用者数 約1200名と決して小さくない規模まで成長されています。
戦力も20代がほとんど、若手営業がズラリと並んでいます。

きっと、見る人によってはとてもうらやましく感じるほどの状態ではないでしょうか。

また、若手営業たちはそれぞれがエリアを持ち、いっぱしの営業として戦っています。
日々、とてもがんばっていて、よくある?伸びない会社のように営業がちっとも動かないということもありません。

さて、なぜこの会社の業績は横ばい~減少傾向だったのでしょうか?
若手営業が日々がんばっているのになぜ伸びていなかったのでしょうか?

世の中には絶対的な「正解」というものはありませんが、おそらく伸びない要因と考えられること、そしてその対策について次のポイントで触れていきたいと思います。

ポイント2:意を決して地域包括攻略メソッドに取り組んだ狙いとは?

若手の営業スタッフたちが「がんばっている」のに伸びなかったのはなぜなのか?

もう少し詳しく状況をご紹介します。
毎月の獲得数は平均すると25~30件程度でした。
利用者数1200名からすると、解約率3%として36件の解約が発生することになります。

獲得数25~30件解約数36件

となり、利用者数は減少していくことになります。

一方で、住宅改修件数はだいたい20件前後の完工件数でした。
ごくふつうの会社はレンタル新規:住宅改修件数が、5:1~4:1程度の比率です。
新規獲得数が25~30件であれば、住宅改修は5~8件程度という会社が多いと思います。

そこからすると3倍~4倍の住宅改修件数があり、この会社の強みの一つは住宅改修にあることがわかります。

おそらくこの会社が、若手営業ががんばっているのに伸びていなかった理由はこんなところにあるのではと思います。

①自分たちの強みが正しく認識できていない
②強みが認識できていないので正しく使うこともできていない
③若手中心で、それぞれがそれぞれのやり方をやっている
④戦っていくにあたり統一された戦術・戦闘がなされていない
⑤がんばりが空回りしていて、ケアマネからはいいように使われている

こうやって書き出してみると「なるほど~」って感じじゃないですか?
いかがでしょうか、似たような状況だなと感じる方はいらっしゃいますか?

さて、状況を整理し、おそらく伸びていなかった理由というのををまとめましたが、ここからどう変えていくかが肝心です。
現状からいかに上昇基調に乗せていくか、包括攻略メソッドに取り組んでいった狙いを書いていきます。

まず住宅改修に強みを持っているということで、その武器を活かせるように「地域包括に強い事業所」へと作り変えていくことを考えました。

なぜ住宅改修が強いと、地域包括に強い事業所になるのか。
地域包括支援センターは介護の窓口として様々な相談を受け付けます。
なかには、そこまでガッツリ介護はまだ必要ないけど、住宅の環境を補助(介護保険)を使って整えたいという相談もよくあることと思います。
また、最近では居宅もケアマネ不足でケアプランを発生させたくない、言い換えると住宅改修だけでスパッと終わらせたいという事情もありえます。
一方で、レンタルは欲しいけど住宅改修はあまりやりたくないという福祉用具レンタル事業所がほとんど(全体の7割くらい?)
ということは、住宅改修に強い事業所は地域包括からめちゃくちゃ重宝されるというのはカンタンに想像できますよね。

そんなわけで、住宅改修に強い事業所は地域包括支援センターへアプローチするのに相性ピッタリということなのです。

次に、若手営業スタッフがそれぞれのやり方でなく、同じ方向を向き、統一された戦術・戦闘を展開することを考えました。

営業が成果を上げようと思うと、ある程度「型」が必要だと思います。

「型」というと、、、

「コンサルは何でもかんでも形にはめようとしやがって!」

と思うかどうかはさておき。

「型」とは言い換えると「戦術」です。

野球に例えるなら、1番バッターはヒットを打つかフォアボールを選ぶことでとにかく塁に出る。
2番バッターは送りバント、ヒットエンドラン、あるいはランナーが盗塁するまで「待て」で、ランナーを2塁以上のスコアリングポジションへと送り出す。
お膳立てができたところでクリンナップの3番、4番がタイムリーヒットで得点へつなげるというのがセオリー的な攻め方だと思います。

これが出てくるバッターみんながみんなブンブンとバットを振り回していたらどうでしょうか?
せっかく1番が塁に出ても、ただ強振するだけでアウトカウントを増やすだけで、ちっとも塁を進められない。
そんな結果になってしまうことでしょう。

そんな風に、それぞれがそれぞれのやり方をやっていた状態から、
統一された「戦術」により、強みを生かせる攻めの形をつくっていこうというのが狙いです。

包括攻略メソッドに取り組んでいった狙いとは、

一つ、住宅改修の強みを生かし地域包括支援センターに強い事業所になること

一つ、若手営業スタッフが統一された戦術・戦闘を展開していくこと

そんなところにありました。

ポイント3:地域包括攻略で取り組んでいる3つのこと

実際に地域包括攻略メソッドに取り組み、実践していった3つのことをご紹介していきましょう。

①徹底した行動量管理

これはもともとからやっていたことでもありますが、営業スタッフの行動量を週次で徹底して管理するようにしています。

新規獲得数=ケアマネ訪問数×相談発生率×成約率

この方程式のうち、ケアマネ訪問数をまずはしっかりと確保していこうというものです。

さすが若手営業スタッフのみなさん、行動量については言うことがありません。
バッチリなレベルで動いていっていると思います。

②強みをさらに強化する現場調査力アップ

もともと住宅改修が強みだったということは先ほど書きました。
社内にプランナーさんという住宅改修の提案を行う専任者がいて、住宅改修案件の際にはプランナーを連れていくというスタイルでした。

でもそれでは営業スタッフが「住宅改修に強い」状態にはならない。

まして、住宅改修の依頼はくるけど、住宅改修と福祉用具をリンクさせた提案にはならない。

そこで営業スタッフに現場調査のやり方を習得してもらう「現場調査研修」を施しました。
手すり工事に関しては営業が単独で現場調査して、提案・見積・申請までできるようにしています。

ケアマネも利用者さんも、若い営業さんであっても安心して任せられるようになっています。

③地域包括へのアプローチ

今回の取り組みでの狙いの一つとして次のポイントを挙げました。
▶住宅改修の強みを生かし地域包括支援センターに強い事業所になること

当然のことながら、地域包括支援センターにアプローチしなければ意味がありません。
まず、商圏内の市町村ごとに地域包括支援センターをリストアップしました。

その上で、次の項目をそれぞれの包括で整理していきました。
・職員数
・うち依頼獲得職員数
・依頼獲得シェア
・利用者数
・職員名

こうしてリストにしてみると、がんばって攻めていると思っていた割に、意外と未開拓・未攻略の包括がけっこうあることがわかります。
未開拓の包括、また包括のなかでもアプローチできていない職員さんにあらためて攻勢をかけていっています。

その成果が冒頭の、

「いやぁ最近ホントに目に見えて好調で、ある営業なんて1日に3件続けて地域包括から新規もらいましたよ!」

という結果にもつながっているのです。

今回のコラムでは「福祉用具レンタル業 包括攻略を進める会社が取り組んだ3つのこと」として、ある会社の事例を取り上げてまいりました。

決して間違ってはいけないのは、若手営業がいっぱいいるからできているわけではありません。

むしろ若手営業の弱点が出ていたところ、ちょっとした変化でそれが武器になっていると捉えていただきたいと思います。

どんなエリアでも、どんな体制でも、どんな規模の会社でも、やってやれないことはありません。

いつも言いますが、

やるかやらないか、

それだけです。

そのカギを握るのはあなたですよ!

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
リフォーム支援部
チーフ経営コンサルタント
入江 貴司

【プロフィール】
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルと
シニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する
専門コンサルティングを進める。
商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制
づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

⇒ 入江 貴司 への経営相談は、コチラまで
E-Mail:takashi_irie@funaisoken.co.jp

この記事を書いたコンサルタント
入江 貴司
入江 貴司
入江 貴司

1976年大阪府生まれ。
大阪大学経済学部卒業後、大手工作機械メーカーに入社。
シニア向けビジネスの立ち上げを専門に手がけるなかで、福祉用具レンタルとシニアリフォームを掛け合わせた「セット提案モデル」を開発し業界に対する専門コンサルティングを進める。商圏内一番事業所に向けた戦略づくり、マーケティング・営業支援、組織体制づくりなど業界企業のビジネスモデル化を強力に推進する。

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